【 わたしの好きなひと 】#44. 何事もなかったかのように・・・*

わたしの好きなひと。

#44.

私が眠りについたのは朝方で、
でも目を覚ましたらベットの上だったーーー。

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私が目を覚ました時にはもう星ちゃんがいなくて、
彼の部活用の大きなカバンも一式なくて・・・
もう試合に行ったんだな、と思った。
あーあ、起きられなかった。
お見送り出来なかった。
ーーー星ちゃんとは何事もなかったかのように普通に過ごしたいと決めたのに。

はちみつレモンを作り、
お兄ちゃんの大好きな塩昆布おにぎりも作る。
それだけじゃ足らないと思って梅干しやおかかのおにぎりも加えてみた。
ーーー料理をしているときは昨日のことを忘れられた。
だから黙々とめちゃくちゃいっぱい作った。

午前中に始まった試合ーー、
ちょうど終わるお昼前に行けば良いと思って11:30目安に向かった。
ーーー今は試合なんて見る余裕ない。
ただ頼まれたものを渡す、それだけでもう・・・ーーー。

いつも鍵が閉まってる扉が今日は空いていて、
多くのお客さんが見に来ていたーーー。
こちらのチームもどちらのチームも。
私はその人たちの脇を試合を軽く見ながら通る。
「ーーーこれ、お願いします。頼まれていたものです。」
そしてペットボトル付近で試合の様子を眺めていたマネージャーの吉永さんに声をかけた。
「あっ、聞いてるよ!ありがとうね!見て行く?」
「ーーーいえ、今日は帰ります。失礼します。」
えっ、と何か言いたそうだったけどーーー。
私は振り返りもせずにグランドを後にした。
ーーーゴメン、今は無理。
大好きなお兄ちゃんや星ちゃんの会社や仲間を悪く思いたくない、
でも一緒にもいたくない・・・。

「ーーーもしもし」
そしてお昼過ぎに、お兄ちゃんから電話を受けた。
「おにぎり大変だっただろ!なんか作らせる形とってゴメンな。」
「大丈夫、味は大丈夫だった?」
「ーーーおいしかったよ。試合見て行かなかったのか?星也、めちゃ活躍していたぞ(笑)」
「ーーーあは、そーなんだね(笑)お兄ちゃんも活躍した?」
「当たり前だ、誰だと思ってる(笑)」
ーーー電話越しでお兄ちゃんの元気な声が聞けて安心した。
それだけなのに涙が出てくる・・・
「どうした?」
「ううん、なんか泣けてきた(笑)なんでだろ(笑)」
「ーーールナ、なんかあった?」
「えー、何もないよ(笑)相変わらず心配性だね(笑)」
「ーーー兄貴ですから(笑)」
電話の時間もあっという間、
お兄ちゃんはすぐに先輩に呼ばれて電話は切ることになった。
ーーーこれから打ち上げなんだろうなぁ、勝ったみたいだしね、と思って私はベットに横になった。

星ちゃんが帰ってくるまで私は寝てたーーー。
いや、帰ってきたのを知らなかった。
「ごめんーーー・・・寝ちゃってた。」
「疲れているんだろ、ゆっくり休め。」
時計を見ると5時か・・・。
「お腹空かない?なんか作る?」
いつも通り笑顔で問いかけたーーー。
きちんと笑顔作れてるよね、大丈夫だよね?
「あーー、打ち上げで食べてきたわ。」
そっか、そーだった・・・。
「あっ、そーだよね!忘れてた(笑)」
「ーーー今日の打ち上げで話していたけど、12月初めからシーズンが始まるっぽい。で、温泉旅行にその前に行くことが決まった。」
「いーねー、楽しんで来て!」
素直にそう思ったーーー。
そんな私を見て星ちゃんは微笑んでた・・・。
たぶんいつもの私なら「ずるーい!」とか「一緒に行きたい!」とか離れたくないアピールをしているけど、今日はあっさりしたから星ちゃんは私を見たんだよね。
ーーーでも今はこの答えが精一杯だよ。

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私たちのこの関係は微妙な関係が続く中、
また新しい1週間が過ぎたーーー。
この1週間、ソファに寝るのは怪しすぎると星ちゃんの少し離れた隣に寝たーーー。
でもね、星ちゃん、怖かったんだよ・・・。
隣にいるだけで寝てるのに、少しでも動く音がしたら怖くて目が覚めた。
だから、学校にも行けなかったーーー・・・。
共学を選んだことを初めて後悔した。

土曜日ーーー、
星ちゃんは海に出かけた。
同期と一緒にーーー・・・。
きっと藍沢さんも一緒に来てるんだろう、
きっと何事もなく毎日を過ごしているんだろう。
星ちゃんも楽しそうにしているんだろうーーー。
ーーー ガチャ ーーー
そう思っていたのに、突然玄関の扉が開いた。
「ーーー忘れ物?」
でもそこには真剣な眼差しを私に向けたお兄ちゃんの姿があった。
星ちゃんも・・ーーー、
神妙な顔をしていた。

今日は三つも更新したぜ♡
最近、子供たちが寝るのが早いので更新出来てる!
できる時に頑張りまーす!

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