【 わたしの好きなひと 】#45. ただ好きなだけなのに・・・*

わたしの好きなひと。

#46.

大きな身長をした2人がリビングに入ってくると威圧感がすごいーーー。
星ちゃんはお兄ちゃんをダイニングの椅子に、
私を向かい合わせに座るように言った。

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「ーーー座れ。」
お茶を出そうと立ち上がると、お兄ちゃんに止められ星ちゃんがなぜかお茶を出してる。
「ーーー私、なんかした?」
超絶怒ってる兄に対して何かをした覚えがない。
「さっき、学校から電話があった。1週間一度も行ってないって。ーーー星也に聞いたら、行ってるもんだと思ってた、何も知らない、とさ。どういうことだ?」
「ーーー体調が悪かった、それだけだよ。」
「1週間も体調悪いなら、今から病院行こうか。」
嘘を見抜いてるんだろうねーーー。
お兄ちゃんは立ち上がり私の腕を掴んだ。
「離して!」
私は咄嗟にお兄ちゃんの腕を強く振り払った。
ーーーそれには星ちゃんもお兄ちゃんも驚いてた。
「ーーーるな、どこが具合悪い?」
お兄ちゃんに反して星ちゃんは優しい口調で聞いてくる。
少しずつ近寄ってくる星ちゃんに私は後退りする。
「具合悪くないんだろ?俺との喧嘩が原因?だったら俺にも責任あるよね・・・ーーー」
「俺はルナが何かをしたいと言った時、大抵のことは許してきた。ーーーだけど理由もなく学校を休むのはダメだ。」
初めて見るお兄ちゃんのこんな怒った顔ーーー。
「ーーー分かりました!月曜からちゃんと行きます!だから帰って、もう帰って!放っておいてほしい!」
私は頭を抱えたーーー・・・。
放っておいてほしい時に放っておいてくれなくて、
構ってほしい時に構ってくれない男たちは自由だ、と思った。
星ちゃんはお兄ちゃんより私の感情的さが酷いからこそ驚きと苛立ちをしているのがバレバレ。
「ーーーこっちは真剣に話してるんだよ、ちゃんと話をしろって。」
ーーーだから突然星ちゃん、抑えきれなかったんだね。
「いっつも1人で抱え込んで爆発する。その度に振り回されるんだよ。そういうのに疲れるって言ってんだよ、分かんない?」
「だったら・・・私といて疲れるなら。星ちゃん切ってよ、私との関係切ってよ。お願いだから嫌いになってよ・・・お願いだから・・・」
私はその場にしゃがみ込んだーーー。
「ーーールナはそれで納得するんだな?」
私は頷いた、
そして、星ちゃんはそっか、と止まった。
多分その時の悲しい顔を私はこの先も忘れることはないだろう、と思った。
もうーーー、いっそうの事嫌いになってくれた方が良い。
ーーー自分から切れないから、切ってもらいたい。

「ルナちゃん、もう全部話した方が良いーーー。」
突然振ってきた声にその場にいた全員が凍りついた瞬間だった。

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「全部話すって何を?日下部さん何か知ってるんですか?」
そう、あの時公園で助けてくれた日下部さん。
ーーーなぜ今ここにいるのか分からないけど、
そんなことどうでもよくて、
今この状況に対してもう私自身もパニックだ。
「それは・・・」
「言わないで!」
私は咄嗟に日下部さんを睨みつけた、
それで日下部さんは口を閉じたーーー・・・。
「ーーー本人の口から聞いたほうが良いと思う。」
ただそれだけお兄ちゃんに伝えた。

お兄ちゃんに反して星ちゃんは冷静で、
私の前に向き合うように膝座りしたーーー。
「ーーールナはオレと切りたいと本気で思ってる?もう会わなくなっても大丈夫って思ってる?ーーーオレはそれが出来ればどんなに楽だろうってここずーと考えていたよ、ルナがオレと離れたいと思ってることも気付いてた。でも・・・手離せなくてそれが出来なくて気づかないふりをしていたんだよ、ごめんな。」
星ちゃんは苦笑いをしていたけど、
目には涙が溜まってたーーー。
わたし、こんなことがしたいわけじゃないのに・・・。
星ちゃんを傷つけてばかりで、
ただ好きで好きで一緒にいたいだけなのにーーー。
私は首を横に思いっきり振ったーーー。

「ーーーっっ!」
その時、星ちゃんの手が私の頭に触れた。
彼からしたらいつもの慣れた行為だけど、
今の私にとってそれはーーー・・・。
体が無意識に拒否反応を起こして、ビクッと震えた。
「えっ?」
星ちゃんは心底驚いた顔をして、もう一度私に触れようと手を伸ばしたーーー。
「触んないで・・・」
でも、私はその手を思いっきり振り払った。
「ルナ?」
「触んないでよ・・私を見るな・・・!」
目の前にいる星ちゃんがあの時の藍沢さんに見えて、
私は自分でも抑えられない震えを起こしパニックを起こした。
「ルナ!落ち着け・・・!大丈夫、大丈夫・・・」
星ちゃんは拒否されても私を抱きしめたーーー。
安心させるかのように強く強くーー・・・。
そしてそのまま私は意識を失ったーーー。

 

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