【 わたしの好きなひと 】#28. ひとつに*

わたしの好きなひと。

#28.

私が返したキスで星ちゃんに火が灯った。
ーーー私の頭を右手で支えて、 先ほどよりも強くて濃厚なキスが繰り返される。
その証拠として口から聞こえる噛み合わされた音が凄くて、
その音を耳にするだけでも興奮するーー。
でも今は勢いある星ちゃんに付いていくので精一杯だ。

「ーーーはぁはぁ。こんなキスしたことない・・」
「そりゃそうだろ、どれだけ俺が我慢してたか(笑)」
やっと息を入れてーーー・・・
私は息を切らしながら彼に言った。
「ーーー」
「でも我慢した甲斐はある。ルナのこんなとろけるような瞳、見たことないーーー。誰にも見せたくない・・・」
そう言って星ちゃんはまた私の唇を奪った。
ーーーとにかく濃厚で深い深いキスをこんなにしたのは人生で初めてのことだった。

ーーーガクッ。
あまりにも彼とのキスが刺激的で自分が自分で無くなりそうで無我夢中だった私はバランスを崩しその場に崩れ落ちそうになった。
でもきっと過去の経験で慣れてるんだろう、
そんな星ちゃんは先読みして抱きかかえてくれた。
「えっ・・・」
そしてそのまま私のことをヒョイと持ち上げ、
ずっと寄りかかっていた寝室へとつながるドアを開きーーー。
私をベットに寝かせた。
休む間もなく星ちゃんは両手で私の頭をしっかり抱え覗き込むように聞いてきた。
「ーーーもう後戻り出来ねえぞ。良いんだな?」
ーーー私は二つ返事の代わりに首を縦に振る。
それを見て星ちゃんはニヤッと笑い真顔になって先ほどと同じように強い強い唇を落としてきたーーー。
このキスだけでもとろけそうになる。
ーーー自分でも気がついている、 すでに私の下半身がうずいていることくらい。
私だけじゃない、星ちゃんも気づいてる。

ーーーああ、気持ち良い。
なんて心地良いんだろう。
こんなにも愛を感じるキスは初めて。
だからこそこの人が・・・愛しいと思う。

私は星ちゃんの胸元に無意識に手を当てた。
白いカジュアルシャツから少しはだけで見える星ちゃんの胸元ーーー、
愛しいーーー。
私はそんな星ちゃんに視線を向けた。
麗しい美しい瞳と私の瞳が重なり合うーーー。
私の瞳からは涙がこぼれ落ちるーーー。
星ちゃんはそんな私の涙を拭った。

そこから先のことは・・・
全て星ちゃんにお任せ状態だった。
ほぼ恋愛経験ゼロの私が星ちゃんにおいつけるはずもないんだから。

ただ一つ・・・
彼が私に触れる手つきも、口づけも全てが優しくて、
その優しさに涙があふれることが多かった。
体を重ね合わせることで、こんなにも愛しいと思うなんて思わなかった。
ーーー愛しい、愛してる。
そう思ったの。

「ーーーおはよう。」
太陽の光で目が覚めると、
横には目を開いて私を見つめる星ちゃんの姿があった。
「おはようございます・・・」
昨日の今日で恥ずかしすぎる私はまともに顔が見れない。
「からだ、痛くないか?」
「ーーーうん、大丈夫です・・・」
「良かった。激しくしちゃったかと思ったよ。」
そう言って星ちゃんは私を抱きしめた。

ーーーいやいや、そんなことはなかった。
逆で星ちゃんはすごく優しかった。 こんな優しいセックスがこの世の中に存在するんだ、 そう思ったよーーー。
すごくすごく幸せな行為だった、 心の底からそう思った。

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