【 わたしの好きなひと 】#18. 希望の光*

わたしの好きなひと。

#18.

ーーー自宅に戻った私は部屋に篭った。
慣れてる、1人でこの部屋に篭ることは。

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お父さんもお母さんもいなかった。
お母さんがどこに住んでるのかは知らないけど、
きっとお父さんは彼女を送って行ったんじゃないかと思う。
私はリビングに行き頭痛薬を手にしたーーー。
ここ最近頭痛が全然治ってくれない。
きっといろんなストレスだと思う。
偏頭痛にストレスは天敵だからね。

7時なっても8時になってもお父さんは帰って来ない。
ーーー仕方なく私は自宅に置いてあったレトルトカレーに手を出した。
また補充しておかなきゃ、とら現実的なことを考えながら。

もちろん1人で食べるご飯は美味しくなかった。
美味しいレトルトカレーなはずで、
よく食べる味なのに全く味がしなかった。
ただ孤独でーー、
こんな人生イヤだと思った。
ーーーどうしてお母さんは私を産んだんだろう。
2歳の私を捨てるほど育児がイヤだったなら、
どうして今更になって戻ってきたんだろう、
そう思った。
お父さんも義務感でわたしを育ててきたけど、
仕事仕事と言い訳して私を一人にしてきた。
ーーー真の愛ではなかったんだな、と思う。
私は何のために生まれてきたの?
きちんと望まれて生まれてきたのだろうか?

まだ体が甘いものを欲していたので、
私は9時過ぎにコンビニに向かったーーー。
星ちゃんの家の前を通って一番近くのコンビニがある。
彼の家は電気がついてるのを確認したから、
当たり前だけどまだ起きてるんだな、と思った。

「ーーーあっ・・・」
コンビニに着くと、大量のビールをカゴに入れてる星ちゃんと出会した。
「おすっ。遅くに一人で来たの?」
「ーーーうん、甘いものが食べたくなっちゃって。星ちゃんは・・・お酒?」
「そっ、ゼミの友達が今来てて足らないから買ってこいって追い出されたわ。あっ、男子だけな笑」
「大丈夫だよーーー。私、行くね。」
「ーーー途中まで送ってくよ。通り道だし・・・」
二人でレジをして並んで歩くーーー。
さっき会ったばかりなのに不思議な感覚だった。
「ーーーなんかこうして歩いてると新鮮だね(笑)あまりこの時間帯は一緒にいないから・・・」
「昨日泊まってお父さん怒ってなかったか?」
「ーーー多分大丈夫。まだ帰って来てないから話ができてないんだ(笑)」
「まだ帰ってないって・・仕事?」
「明日からだと思うから、多分お母さんを送りに行ったんじゃないかな?」
「今、一人ってことか?」
「えっ、うん、そうだけど?」
星ちゃんは突然立ち止まって、半座りの体制をとり大きなため息をついた。
「はぁぁぁ。だから1人になる時は連絡しろって言っただろ・・・」
「あっ、そっか。忘れてた、ゴメン。」
「うるさい連中が3人いるけど、うち来るか?」
「ーーーありがたいけど、帰るね。」
「るな・・・」
「私には私の生活があって、星ちゃんにも星ちゃんの生活がある。そこは邪魔しちゃいけないと思ってる。大丈夫だから、多分遅くならないと思うし。」
ーーー結局、星ちゃんは自分の家を通り過ぎて私の家まで送ってくれた。
「何かあったら必ず連絡すること、俺も連絡するから携帯そばに置いておいて。」
「ーーーおやすみ、またね。」
私は返事はせずに笑顔でバイバイした。

ーーー私のお父さんよりもお父さんみたいだなと思った。
心配してくれてるのはありがたいけど、
過保護すぎる気がする。
でもその過保護さが私は嬉しかったんだ。
結局、お父さんは帰ってこなかったーーー。

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「ーーー星ちゃん、寝てる?」
夜中3時、どこの誰もが寝てるであろう時間に電話した。
迷惑なことも分かってる、
でも帰ってくると思ったお父さんが帰ってこなかったんだから不安で仕方なかった。
「んっっ・・・ルナ・・・?どした・・・?」
寝ぼけている星ちゃんは必死に起きようとしてる。
申し訳なくて電話を切ろうとした。
「ごめん、こんな遅くに・・・」
「ーーー切るな。電話・・・切らないで。話、聞くから・・・」
「ーーーお父さん帰ってこなかった。」
「ーーーうん。」
必死に起きようとしてるのが分かって申し訳なくなった。
「わたし、何のために生まれてきたのかな・・・。望まれて生まれたのかな・・・。」
そんなことが不安で星ちゃんに訴えてしまった。
ーーー多分、昔からそう思うことが多々あった。
だから私は人の気持ちに敏感な子になってしまったんだと思う。
「ルナは望まれて生まれてきた子だよ。ーーーそれじゃないと俺が困る。」
「ーーーうん。」
「・・・明日、うちに来る?学校、早く終わるだろ?ーーー俺もバイトだから四時頃までしかいられないけど、それでも良いなら来てもらえたら嬉しいわ。」
「行こうかな。」
「ーーーなら今日はゆっくり休め。余計なことは考えないで、寝る!約束、いいな?」
「ーーーはい。おやすみなさい。」

次の日も朝もお父さんがいなくて一人での朝食。
ーーーでも星ちゃんに会える喜びの方が強くて、
孤独も寂しさも感じなかった。
そして思った。
ーーーお母さんを呼び戻すのではなくて、
お父さんがお母さんの方に行けば良いのに、と。

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