【 わたしの好きなひと 】#15. 家族の形*

わたしの好きなひと。

#15.

東京に戻った私は少しだけ時間つぶしをして自宅に戻った。
「おかえり、友達の家は楽しかったか?」
と出迎えたお父さんに言われたひとことー--。
あっ、お兄ちゃんはケンカの理由を話さなかったんだ、とお兄ちゃんの優しさを感じた瞬間でもあった。

「ー--一度、るなにはきちんとお母さんと会ってもらいたいと思ってるんだよ。」
夕飯時にお父さんに言われた言葉。
帰ってくればお母さんを戻し入れる話で正直参ってしまう部分がある。
「・・・うん、分かってる。わたし、別に反対してないし、お父さんが幸せになるならそれで良いと思うよ。」
あーあ、美味しいご飯があまり美味しいと感じないな・・・。
「だから6日の夜にみんなでご飯を一緒にしないか?」
「6日?その日は予定入れちゃったよ・・・。」
星ちゃんと出かけるとは言わずに予定が入っていることを伝えた。
「ー--父さん、6日は俺も大学に戻る日だから無理だよ。その前の日は?」
「ー--5日なら私も大丈夫だよ。家に呼べば?」
「母さんに聞いてみるよ。」
全く美味しいと感じなかった夕飯も終えて、私はそそくさと部屋に戻った。
ーーーあんなに大好きなお兄ちゃんとも微妙な空気が流れてしまった。

「るな、入るぞ。」
自室でベットに転がりながらネットサーフィンをしていたらお兄ちゃんが入って来た。
「どうかしたの?」
「ー--どうかしたのって・・・」
お兄ちゃんは微笑を浮かべた、昨日の事を話したいんだってすぐに分かった。
「あっ、昨日はごめんね。でもお兄ちゃんとケンカしたおかげで星ちゃんに会えたから良かった(笑)」
「ー--あいつ、ビビってたからね。高校生が一人で来たよ、って。帰りもすんげー心配してたけど(笑)」
「もう18歳だもん、大丈夫ですよ(笑)お父さんに言わないでくれてありがとう、適当にごまかしてくれたんだね。」
「父さんも今一番気がかりはルナのことだからな・・・」
「そっか。ー--さぁてお風呂でも入ってこようかな。」
お兄ちゃんはまだ何か言いたそうだった、
だけど私がもう今は話したくないのを長年の付き合いだから分かったんだと思う。

ー--お母さん、ね。
どうして離婚したんだろう。
そう言ったことも含めて、みんなでご飯食べるときに聞けるのかな。
湯船につかりながら、
私は星ちゃんの家族のことを思い出した。
明るく適切な判断が出来るお母さん、寡黙なお父さん。
ハッキリしていて非常に明るいお姉さん、そして明るくて人懐っこい星ちゃん。
家族の形がここにはっきりとあった。
星ちゃんは私に言わなかったけどー--。
多分お母さんが戻ってくることはきっと喜ばしいことなんだと思う。
だからねー--、
かたくなに反対するんじゃなくてまずは相手を受け入れてみようと思った。

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