#14.
ーーー明るい光が眩しい。
んんっーーー。
目を開けると星ちゃんの姿があった。
ーーーそっか、私来ちゃったんだ。
星ちゃんに会いに来ちゃったんだ。
・
初めて星ちゃんと同じベットに寝たーーー。
ただ眠っただけでも朝を一緒に迎える、
それがこんなにも嬉しいことだというのを今初めて知った。
ーーーツンツン。
普段綺麗に剃られている髭も少しだけ生えていて、
触るとザラザラした感触だった。
肌も本当に綺麗、どんな手入れをしてるんだろう。
整った顔立ちに長いまつ毛、
キリッとしてるまつ毛ーーー。
本当に文句のつけようがない顔立ちだと思う。
ーーー極め付けは鍛えられてる肉体美だよね。
元々高身長でモテる要素は強いけど、
やっぱり筋トレで鍛えていることもあって体つきが本当に美しい。
ーーー私は無意識に星ちゃんの胸筋をスウェットの上から触った。
硬い、鍛えられていてすごい、と思った。
「ーーーあのさ、さっきから誘ってるわけ?」
ハッと見ると星ちゃんは私の方をニヤニヤして見てる。
「えっ!!起きてたの?!いつから?」
「ーーー結構前から(笑)でもなんか新鮮だろ?この感じが、だから寝たふりしてた(笑)」
ーーー恥ずかしかった、だって起きてきたなんて。
「もうっーーー!!」
「あはは!完全に騙されてやんの(笑)」
星ちゃんは私に掛け布団を潜らせ、
布団の中でじゃれあい見つめ合いキスをした。
「ーーー星ちゃん、お願いがあるんだけど。」
「ん?」
「お金貸してくれない?」
「金?」
「ーーーうん、東京に帰るよ。」
あーー、と星ちゃんは頭を抱えた。
「俺も帰ろうかなーーー・・・こっちにいても姉貴にコキ使われるだけだし(笑)」
「1人で来たから一人で帰れるよ、だからまた6日以降に会おう?」
「ーーーならその前に付き合えよ。」
私は何度も彼のご家族にお礼を言って、
星ちゃんの車に乗ってアウトレットに向かった。
とても有名なこのアウトレット、
一度は来てみたかったんだーーー。
「ーーー見て、これ可愛くない?」
洋服屋さんに入ったり雑貨屋に入ったりーーー。
アクセサリー屋さんに入ったり、
いろんなお店に入っては楽しんだ。
「これ、似合いそうじゃねえ?」
スワロフスキーのお店に入ってピカピカのピンクに輝くネックレスを星ちゃんが見つけた。
確かにすごく可愛いしハートで女の子らしいデザインになってる。
「本当だ、可愛いね!すごいね、わたし好みがわかる!」
「着けてみたら?」
えっ、と返事する前に星ちゃんは私の首元にそれをつけた。
「ど、どうかな・・・?」
「うん、似合うな!ーーーこれにするか。」
「えっ、待って。なんの話?」
「誕生日プレゼントだよ。」
「えっ、いらないよ!大丈夫だよ!」
「俺からのプレゼントを受け取れないって言うのか?(笑)」
店員さんが私たちのやりとりを見て笑ってる。
「優しい彼氏さんですね(笑)」と。
結局、私は星ちゃんに負けてこのネックレスを誕生日プレゼントとしてもらった。
「なんか・・・ごめんね。」
「いいってことよ、大切にしろよ。」
「ーーー大切にするね、ありがとう。」
今日は天気も良く冬にしては暖かい日だったから大きな芝生の上でランチを食べた。
「新幹線何時に乗る予定?」
「ーーー3時頃が良いかな。」
「太陽には知らせたのか?」
「ーーーううん。メールしておく。」
「ーーーそっか。」
ご飯を頬張りながら星ちゃんはそれだけ言って食べることに集中した。
ーーー多分聞かないほうが良いと思ったんだと思う。
「・・・お母さんが戻ってくるんだって。」
「お母さんが?今の家に?」
「ーーーみたい。お母さんとやり直そうと思ってるって言ってたよ。」
「・・・記憶ないんだよな?」
「うんーーー。でもね、一度だけ会ったことがあって。その時はお母さんだって知らなかったんだけど。ヨリを戻すことやお父さんが幸せになるなら良いんだけど、私にとってお母さんの記憶がないのに戻ってくるって言われてもすぐに納得できなくて。それで昨日お兄ちゃんと言い争ったんだ。ーーーお兄ちゃんは出て行く人だから残される側の気持ち、わからないんだよ。」
だってお父さんは出張が多い人で・・・
そしたら残された私とお母さんは、どう関係を築いていけば良いの?
ーーー分かんないよ。
「ーーー辛かったな。」
「でも、腹を決めたよ!お父さんの幸せを応援することにした!星ちゃんの家族を見ていてそう思った、来て良かったよ、ありがとうね。」
心からそう思った。
ご両親がいてお姉さんがいて星ちゃんがいて姪っ子ちゃんもいて。
家族からとても愛されているのが分かったーーー。
今更感あるかもしれないけど、
私も少しは期待して良いのかな、と思った。
強がりだけど、そう言うふうに思うことでしかお父さんを応援できないから。
・
「ーーー6日の朝一で帰るから、迎えに行くから出かけられる支度しておけよ(笑)」
「じゃ、またね!」
私はホームまで見送られ、東京に戻った。
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