結局、聖ちゃんは1時間半くらい眠っていたんだと思う。
4時頃に目覚めて少しだけ焦っていてーーー、
逆に僕はその姿が可愛くておかしくて笑ってしまったんだけど。
*
昌
ーーー聖ちゃん、少しだけ話を聞いてもらえますか?
僕が笑っていたことに彼女はふてくされていたけど、
僕は気を取り直して彼女に伝えた。
あまりにも真剣な顔をしているから真面目な話だと察したんだろう、
聖ちゃんは僕の隣に座りながら頷いた。
・
僕は向井さんの気持ちを聖ちゃんに伝えた。
本来は僕から伝えるべきことではないけど、こればかりは仕方ないと思ったから。
聖
ーーー知ってるよ。って言うかなんとなく感づいてたし、でも私の勘違いかなとも思ったから晶くんには何も言わなかった。向こうが私を想ってくれていても私が心から想ってるのは晶くんだよ、だから私は向井さんと向き合う必要なんてないと思ってる。きっと向井さんもそれ分かってると思うよ。
昌
でもそれじゃ先輩の気持ちは報われないと・・
聖
だから?先輩が私を好きだったら私は向き合わないとダメなのかな?冷たいことを言うようだけど、それって先輩の問題で晶くんの問題ではないよね?
聖ちゃんは凍りついているように冷めた表情で言った。
昌
そうですけどーーー。
聖
私たちが幸せでいること、それが一番先輩に諦めさせる方法だと思うの。だから私が先輩と向き合うとか会うようにしたり・・・そんな悲しいことは言わないで?
聖ちゃんは僕の右手を自分の両手で包んで自身の胸に抱き寄せた。
聖
お願いだから・・・寂しいことは言わないで。こんなことで晶くんを悩ませたくないよ。
僕の取り越し苦労だったのかもしれない、
だけど僕はそんなことより聖ちゃんが向井さんと二人で話し合うことを拒否してくれたことがやっぱり嬉しかったんだと思う。
きっとどこかで期待していたんだと思う、
彼女に否定して欲しい、と。
それが叶ったからなのかーー、
強く強く彼女を抱きしめた。
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