【 中学聖日記_妄想 】#131. 向き合う大切さ*

中学聖日記_妄想

向井さんが初めて僕の家に来たのはまだ子供たちが生後3ヶ月の時ーーー。
きっと向井さんはその時に聖ちゃんに恋をしたんだとは思うけどそれ以前から関心をずーと持っていた。
聖ちゃんに対して僕と年齢が離れていたこと、
先生と生徒だという立場からの結婚だったから良い印象を持ってなくて僕に色々と聖ちゃんのことを聞いて来ていたんだとあの時は思った。

・・・でも。
もしかしたら彼はその時から少しの恋心を持っていたのかもしれないと思い始めた。
人は外見で判断する人もいれば、中身で恋に落ちる人もいる。
向井さんは僕から聖ちゃんの話を聞いているうちに興味が湧いた、
そして実際に会って恋に落ちてしまったんじゃないかと僕は思った。
ーーーつまりきっとそれは僕が想像している以上に彼は聖ちゃんを想っている。
簡単な恋心ならすっぱり諦めるのに彼はそうしない。
現にあんなに大好きだった飲み会も今は行ってないと同僚の女子が言ってた。
どんなに他の子と飲んでもその時は楽しくても後に虚しさだけが残ることを僕も知ってる。
向井さんは僕がそばにいる限り、
聖ちゃんを僕を通して知ることになり諦められないんではないか、と結論に至った。

だからと言って僕だってお人好しではない。
手にした彼女を差し出すことなんて出来ない。
だったら僕はどうすれば良いんだろう?
ーーーもし僕が同じ立場だったら?
報われない恋をしていたら・・・
きっと僕は気持ちを伝えるだろうと思った。
実際に僕は聖ちゃんに気持ちを伝え続けた。

初めて出会った15歳の恋ーーー、
あの時は誰もが報われない恋だと分かってた。
当の聖ちゃんも、もちろん僕も。
だけど気持ちを相手に知ってもらうことで少しだけスッキリすることもあると思うんだ。
あの頃の僕は初恋で若すぎて大人じゃなかったけど、今同じ立場だったらきっとーーー。
きちんと振られたいと思うんだ。
ーーーだから僕は向井さんにも聖ちゃんと一度だけ向かい合ってもらおう、そう決めたんだ。
本当は嫌だけど、
すごく嫌だけどこれで先輩が前に進めるのなら僕は協力するべきなんだと思う。
相手が僕の奥さんだから・・・

昌
ーーーゴメンな、この手だけは手放せないんだよ。

僕はまだ眠る聖ちゃんの髪の毛の間をさすりながら1人呟いた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました