【 中学聖日記_妄想 】#130. 突然の訪問者*

中学聖日記_妄想

スースースー。
しばらくして寝息が聞こえたのでギョッとして聖ちゃんの顔を覗き込むと気持ちよさそうに眠る彼女の姿が目に入った。

*

僕には本当のところは分からないけど、
少し自惚れても良いのならば彼女も僕と同じように安心して眠ることが出来ない日々が続いたんではないだろうか、と思った。
聖ちゃんが部屋着のまま出て行こうとした、と言っていた母さんの言ってることが本当なら不謹慎だけど僕は少しだけ嬉しくも思った。

ーーーそれにしても気持ちよさそうに寝るなぁ。
僕のベッドなんだけどーーー、
半分は取られてる気がするよ。
きっとそれだけ彼女も安心しきってるってことだ。
起こさないよう、
僕はひたすら天井を見上げていた。

*

聖ちゃんが寝ること30分、突然部屋の扉がガラッと音を立てた。
僕はドキッとして、
隣に眠っていた聖ちゃんを布団で隠した。

看護師さんが点滴の交換にでも来たのか、
それとも主治医のおじいちゃん先生が来たのかーーー。
視線をその先に向けると・・・
仕事中のはずの向井さんと部長が入って来たことが見えた。
正直気まずいーーー、
僕の隣には聖ちゃんが眠ってるから。

「黒岩、大丈夫かぁー?」
そんなことも知らずベットサイドに来た部長たちは僕の様子を伺って、
果物セットまでも持って来てくれた。
「すいません、明日には退院できるそうで明後日から復帰出来ます!」
僕は布団を脱ぎ、自分だけ起き上がった。
「明日は金曜だ、仕事のことは大丈夫だから週明けから復帰しなさい。」
部長の優しい笑顔が僕に微笑んだ。
「ーーーありがとうございます。」
普通に会話してるように見えるけど僕はドキドキだった。
聖ちゃんが起きないように、と。
だけどそれと同じくらい、興奮もしてた。
このスリル感をどこか楽しんでる僕もいた。

「こんな時間に大丈夫なんですか?(笑)」
僕は素朴な疑問を問いかけた。
「今日の打ち合わせでこの近くまで来て、折角だから顔出していこうとなったんだよ。看護師さんも特別に許可してくれたよ。」
部長が間も開けずに即答、そのまま打ち合わせの内容も軽く教えてもらった。
「でも・・・ちょっとお邪魔だったかな?」
ふざけた顔をした部長がニヤッと笑って僕を見た。
そしてさらに視線はひじりちゃんが眠る方向へ向けられた。
完全に気が付かれているのを知った僕はその瞬間に体に熱を感じ始めた。
「ーーーそんなことはないです!寝不足だったみたいで寝てしまって・・・」
その光景を部長は笑っているのに対し、
向井さんは少しだけ切なそうな表情をしてるのを僕は見過ごさなかった。

部長たちはすぐに帰ったけど、
僕は聖ちゃんが目をさますまで少しだけ向井さんの気持ちになって考えてみることにした。

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