しばらくして聖ちゃんが母さんと自分の分の飲み物を持って病室に来た。
相変わらず子供たちは僕の膝の上で遊んでいて、
この時間がとても幸せだと思えた。
*
「2人の時間楽しみなさい、また退院したら現実に戻るんだから。」
しばらくして母さんはベッドの上で寝てしまった2人を連れて先に帰ってくれた。
聖ちゃんは何度も断っていたけど母さんの方が強く折れなかった。
ーーーこんなに甘えて良いのかな、聖ちゃんは何度も言っていたけど母さんの好意だと思うし僕はむしろその言葉に甘えて欲しいと思った。
母さんが帰ってから聖ちゃんは前日と同じようにベットサイドに座りながら僕の手を握ってた。
特に何かをするわけではなく、
ただ手を握り締めているだけで安心する、そんな存在。
僕はーーー、
それだけでは足らなくて抱きしめたくて。
だから気づいたら言葉にしてた。
ーーー隣に来て欲しくて、もう少し近くで触れたくて。
断られるかなって少し不安もあったけど、
思いの外、聖ちゃんはすんなりと僕の横に少しだけ遠慮がちに座った。
ギシッときしむベットの音で「壊れないかな(笑)」なんて心配もしていたけど。
久しぶりに横並びに座る僕たち、
特に病院のベッドは狭いからいつも以上に密着度が高くてぼくの胸は高ぶった。
*
布団の中で手を繋いでーーー、
少しでも密着したくて2人で横になり会話する。
クスクス、と笑いながら話す聖ちゃんが愛しかった。
この平和な時間がずーと続いて欲しい、そう願った。
僕と聖ちゃんは一度ケンカするとかなり大きな喧嘩になるけどーーー、
やっぱりそれで愛情が減ることは一度もない。
それよりも僕は彼女への愛が増えていることをいつも感じる。
そう僕が思いにふけているとーーー、
聖ちゃんが寝返りをして僕に抱きついて来た。
本当に狭いからいつも以上に聖ちゃんを体で感じる。
彼女はそう言って涙を流していたことを僕はすぐに知った。
母さんが言ってた、
先輩からの連絡をもらって聖ちゃんは一目散に家を出て行った、と。
僕は彼女を身動きの取れる右手だけで抱き締め、
唇を重ね合わせた。
切なそうな彼女の顔が僕の胸を締め付ける。
涙で瞳が潤ってる、
その瞳が僕の胸を締め付ける。
僕はーーー、
ひたすら彼女を抱き締めていた。
コメント