【 中学聖日記_妄想 】#33. 両親への挨拶*

中学聖日記_妄想
聖
ーーーきちんと挨拶をしたい。

聖ちゃんから切り出されたそれは本当に突然のことだったけど、
僕も気になっていたことの1つだったから僕たちは迅速に行動した。

*

僕たちは週末に実家を訪れた。
聖ちゃんは朝から緊張してて、繋ぐ手も冷や汗で冷たくて・・・。
そんな彼女の手を僕は大丈夫と伝えるように強く握りしめた。
「息子をよろしくお願いします」
母さんは涙ぐんでそう言った、
それにつられて聖ちゃんも泣きそうになっていた。
「こちらこそよろしくお願いします。」
そんな聖ちゃんを母さんは今までにないくらい、
僕にも見せたことがないくらい優しい表情をして見ていた。
「末永先生、長い間辛い思いをさせてゴメンなさいね。晶と出会わなければ・・先生にこんな辛い思いをさせることもなかったのに、何度もそう思いました。あの頃は先生を責めることしか出来なくて申し訳なかったと思ってるんですよ。」
「いえ、こちらこそあの頃は自分たちのことしか見えてなくて。教師という立場だったのに本当に申し訳ありませんでした。だけど!黒岩くんと出会っていなかったら今の私はいません、だから確かに辛い期間だったけど今ある幸せのためだと思っています。時間かけてでも許してもらえたこと、それが私は嬉しいです。」
「お体はもう大丈夫ですか?」
「はい、大丈夫です。」
僕はいてもいなくても良かったと思うーーー、
聖ちゃんと母さんの話をただ聞いているだけだったから。
それでも「黒岩くんがいてくれて良かったーー!」と言ってる聖ちゃんに僕は胸が何だか安らいだ。

*

「もうあなた達は立派な大人です。私たちが反対する理由はありません。」
「ありがとうございます。」
次に向かった聖ちゃんの実家では緊張が強く走った。
大丈夫、と言ってた聖ちゃん本人もとても緊張してるのが伝わった。
ーーーお母さんは厳しい人だと聞いていた、
実際に数年前に山江島から戻って来たときにチラッと見たけど言い分を聞いてくれなかったのだけは覚えていた。
だから僕は聖ちゃんのお母さんに会うのは怖かった。
「だけどこれだけは言わせて。あなた達は今まで多くの人を傷つけて苦しめて来たの。」
「はい・・」
「その分、幸せになりなさい!」
ーーー喜んでる、と認識して良いんだよね?
顔が笑ってないから分からないけど。

聖
緊張した?怖かったでしょ?(笑)
昌
ーー少しは、ね。
聖
あれでも私のお母さんだから。お母さんも辛かったと思うし・・・ごめんね?
昌
大丈夫ですよ、認めてもらえたとだけでもうあとは突き進むだけじゃないですか!

親に挨拶云々より、
僕はあとは式に向けて話を進めるだけだということへの楽しみの方が強かった。
でも・・
聖ちゃんの表情は少し硬くて僕は不安になった。
そしてギロっと疑惑を向けたようなニヤリとした表情で僕に言った。

聖
ーーー黒岩くん、大切な人を1人忘れてない?
昌
あっ・・

聖ちゃんの言葉で父さんの存在を思い出した僕は最低な息子だと思う。
ーーー聖ちゃんと結婚できる!
その喜びが強くて忘れてしまったことを「そうか、そうだよなー。」と父さんなら笑って許してくれるよな。

聖
私たちが別れに直面していたとき、お父さんだけが味方してくれたんだよ?そんな大切な人、忘れちゃダメだよ。まったく・・・(笑)ーーー提案なんだけど数日間の有給って取れたりする?

ここから先はもう僕は聖ちゃんの言いなりだった。

 

いやさ、プロポーズしたのは良いけど・・
親への挨拶も指輪も何もないことに今更ながら気づいてしまったわけです(笑)
大事なことをねー(*´∀`*)

コメント

タイトルとURLをコピーしました