【 中学聖日記_妄想 】#106. 聖と母さんはどこ?

中学聖日記_妄想

そしてさらに1週間が過ぎ、
追い込みをかけるように週末はみんなで出勤して無事に月曜の朝にシステムを完成することが出来た。
顧客である銀行にそのシステムを納品して無事に確認することも出来た。

*

無事に顧客にも納品することができ、
もともと不具合だったシステムも向井さんの協力あって修復することが出来た。
とにかくこの1週間、僕はひたすら仕事に没頭した。
あんなに楽しみにしてきた聖ちゃんからの連絡もこの数日だけ控えてもらった。
それだけ真剣に仕事に向き合って、どうしても早く完成させたかった。
聖ちゃんに早く会いたいーーー。
その気持ちがあったのは嘘じゃないけど、それと同じくらいに初めての大きなプロジェクトで成功すれば自分の自信に繋がると思ったからだ。

水曜日ーーー、
納品先での機動も無事に行われたと確認して僕たちの仕事は終了した。
それを誰よりも真っ先に聖ちゃんに知らせたい。
もうすぐ東京に戻れる、と真っ先に教えてあげたい。
そう思ったのに聖ちゃんの携帯は電波が届かない場所のアナウンスが流れたーーー。
まだ朝の時間帯だから家にいるはずなのに、おかしい。
変な不安が僕の心をよぎる。
だから母さんに連絡を取ろうとしたのに、母さんも電波が届かないアナウンスが流れた。
みんなに何かあったんだろうか?
そう思っていたら「今夜の打ち上げ、参加しますか?」と甲高い声が耳に聞こえた。

とっさに携帯をポケットに隠した僕はその人に向かって二つ返事をした。
彼女は確か同じプロジェクトに携わってた新入社員だ。
若いのに凄いな、と感心していた自分と彼女から出される香水の匂いが苦手で近寄らないようにしていた。
その人は「向井さんに詳細はお伝えしてあります、失礼します!」と僕の前から消えた。
どうやらこの打ち上げイベントの参加の有無を部長から頼まれたようだった。
ーーー正直、こんな打ち上げより・・・
僕は自宅に戻りたい。
そんな気持ちでいっぱいだった。

時間を見て聖ちゃんや母さんに連絡取ろうとしても、
何度かけても電波が通じないことに僕は不安を隠せなかった。

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