【 中学聖日記_妄想 】#32. 晶の願い*

中学聖日記_妄想

僕はいつも7時に目を覚まし、8時に家を出る。
聖ちゃんは5時に目覚ましを設定して、6時半に家を出て行く。
それでも会社に着く時間は同じくらいだ。

聖ちゃんは前職場の人に言い寄られて退職、
大学内にある事務センターで働き出した。
まだ働き出して数ヶ月、
だけど僕には一年以上に感じるほど色んな事が起きた。
片道2時間かけてまで通勤して楽しいものなのか、
僕はずーとそれが疑問だった。
実際に僕と聖ちゃんは彼女が働き出してからすれ違いが増えてしまっているようにも感じた。
少なくとも会う時間がないせいで会話が前ほど持てなくて、色んな誤解が生まれたのは事実だ。
だからーーー、僕は彼女が働くことに対して意義を持ち始めていた。

*

昌
ーーー聖ちゃん。

あの日以来、聖ちゃんは僕が帰宅するのをどんなに遅くなっても待っていてくれるようになった。
太るから、と言って同じ時間にはご飯は食べないけど一緒に食卓を囲んでくれる。
ーーーそれがこんなにも嬉しいなんて。

聖
どうしたの?
昌
僕のお願いを聞いてくれますか?
聖
お願い?
昌
結構前から考えていたんですけど・・・仕事、辞めて欲しいと思ってます。
聖
えっ?

思いもよらない僕からの言葉に聖ちゃんも驚きを隠せなかった様子。

昌
聖ちゃんが働くことに意義はないです、でも今の職場は遠過ぎます!ーーー僕のお給料で聖ちゃんを食べさせて行くことだって出来ますし、無理に急いで仕事を探そうって思って欲しくないんです!
聖
黒岩くん・・・
昌
僕はやっぱり聖ちゃんには先生をやって欲しい!こんなに生徒を思ってる先生は他にいないのに先生を続けないのはもったいないです!どんなに時間かかっても良い、僕がサポートしますから!だから・・・ゆっくり自分のやりたいことをやり遂げて欲しいんです。俺たちもすぐ夫婦になるんです、もっと頼ってください!もう頼りなかった15の黒岩晶じゃないんで!それに、僕はもっと平日も聖ちゃんとの時間を過ごしたい。

聖ちゃんは僕の話を聞いて、
少し考えて真剣な眼差しで答えた。

聖
私も・・同じ。黒岩くんとの時間がもっと欲しいと思ってた。それと同じくらいに年上だからしっかりしなきゃって思ってた。でもいつも空回りばかり、仕事も長続きしない。どうしたら良いのか分からなくなってた、だから今の言葉に救われた。ありがとう。ーーー私の今1番の願いは黒岩くんと早く家族になりたい、それだけだよ。

その夜、僕は不思議な夢を見たーーーー。
聖ちゃんと僕がいて、
そこには小さな女の子が僕の手を繋いで微笑んでいた。
楽しそうに、幸せそうに。
まるで家族のように・・・。
あぁ、これが家族になるってことか。
ーーーとてもとても幸せな夢だった。

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