聖ちゃんのアパートに着いた僕は何度も何度もインターホンを押す。
ーーーまるであの時の自分みたいに。
18歳の僕は誓約書を書かされていると知って聖ちゃんのもとに走った、
ただ会いたくて。
声が聞きたくて。
聖ちゃんの立場も何も考えずに。
その行動が別離という決定打を起こす原因にはなったけど僕は後悔してない。
それが自分だから。
ーーーそして今もきっと同じことを僕はしている。
引かれても嫌われても良い、
今は無性に聖ちゃんに会いたい。

何度問いかけても返事がない部屋の前で途方にくれてる僕に聞こえた愛しの人の驚いた顔。
同窓会にいるはずの自分がなぜここにいるのか、というのを彼女は問いてるんだと思う。

玄関先で叫んだ僕に驚いた聖ちゃんはクスッと笑いながらも部屋に迎え入れてくれた。

照れ臭そうに台所からペロッと舌を出して笑う聖ちゃんはとても可愛くて僕は彼女を後ろから抱きしめた。
ーーーそしてそのままベットへと引き入れた。
我慢出来なかった、
ただただ愛しい彼女を自分の中に・・・
今すぐ早く彼女と一つになりたかった。
情事が終わってから僕は事の経緯を聖ちゃんに話した。
「そこまで黒岩くんが悪者にならなくても良かったんじゃないかな?ーーーあの夏の海の日、わたしが黒岩くんとキスするのを許したの。それをきちんと伝えても良かったんだよ。」
「そんなこと言ったら聖ちゃんが・・!」
「確かに香坂さん達生徒のことは大好きだったけど、それとこれは別。黒岩くんの嘘で黒岩くんだけが責められるのは嫌、私も同罪。二人で一緒に分かち合いたい。」
ベットの中での聖ちゃんは人一倍に甘えん坊だと思う、
普段甘えて来ないから余計にそう思う。
聖ちゃんは僕の頰に手を当ててキスを落としてくれた。
それが幸せで幸せでーーー、
ここ数日が幸せすぎて周りのこととか何にも見えなくなっていた。
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