【 中学聖日記_妄想 】#12. 同窓会*

中学聖日記_妄想

「5年ぶりの再会を祝ってかんぱーい!」
九重が主催となって行われた今回の同窓会は5年前と同様でほとんどの同級生が集まった。
高校以来会ってないメンバーと久しぶりに会っても辞める前の中学時代に戻ってるような感覚になるのは不思議だ。

「ねぇ、今度こそ教えてよ。あの時、末永と何があったの?」
香坂と岩崎に挟まれて座っていたオレは若干気まずさを覚えながら目の前にあるコーヒーをすすっていた。
「黒岩が教えないなら末永に直接聞こうかなー?」
「はっ?」
「反応はやっ(笑)嘘に決まってんじゃん、ゆう、末永の連絡先知らないもーん!」
「・・・さすがにもうあの人と結婚したんじゃない?」
実はオレは中学時代あんなにつるんでいた岩崎ともこの5年間会っていない。
相手に恋愛感情があると知った以上、友達でいることは出来ないと18歳のオレは学んだから。
だから岩崎はあれからのオレのことを何も知らない。
「ーーー結婚してないよ。」
「「えっ?やっぱり連絡取って・・?」」
「ーーー先生は・・・オレから一方的に好きになって振られても何しても好きで、オレから無理やりキスして。婚約者にも親にもそれがバレて引き離されたんだ・・」
オレは先生の立場を思って今の現状のことは口に出さなかった。
まだ不安定なこの関係ではなく、
きちんとプロポーズをしてからみんなには報告したいと思っていた。
香坂は食いつきたい思いがあったようだけど、
オレはそれ以上何を聞かれても口を開くことはしなかったーーー。
それにボクは先生の名誉を、
聖ちゃんが誇りに思っていたあの頃の僕たちを守りたかったから。

「ーーー帰る」
香坂に、岩崎に先生との当時のことを聞かれたオレは無性に彼女に会いたくなったーー。
「黒岩、待って!」
店を出たオレを追いかけてきたのは誰でもない岩崎。
「・・何?」
「末永と会ってんの?」
「それを知ってどうするの?ーーー岩崎に関係ある?」
「ないけど・・・別に黒岩とどうこうなりたいとか今更思ってないから!わたし今、大切な人いるし!」
「だったらそれで良くない?岩崎の気持ちに一度も答えられなかったのは申し訳ないけど、今の大切な人を大事にしなよ。じゃっ」
それだけ言い放ち、
ボクはーーー、ボクはーーー。
ひたすら聖ちゃんの家を目掛けて走った。

ーーー無性に会いたい。
抱きしめたい、違う。
壊れるほどに抱きたいという感情を抱きながら。

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