夜空を見ながら思ったーーー。
星の数だけ出会いがあると言うなら、
全ての星が僕と聖ちゃんであって欲しい、と。
*
僕は目を瞑ったーーー。
いろんな事を考えたくなくて目を瞑り頭を真っ白にしたかった。
その時、僕の頬に触れる彼女の温もりを感じた。
ひんやりしていて気持ちがよくて僕はうっすら瞳を開けた。

聖
ーーー辛い?大丈夫?
こんな状況なのに彼女の優しさが嬉しい。
だけど久しぶりに間近で見る彼女に少し恥ずかしさもあった。

昌
ちょっと頭が痛いですけど大丈夫・・・

聖
ーーー辛そうな顔してたから、つい・・・
自分が近過ぎたことを改めて知った彼女はパッと僕の頬から手を外した。
*
そのまましばらく沈黙が続いた。
ベッドに横たわる僕とベッドサイドに拳を握りしめながら座る聖ちゃんーーー。
お互いに何を話して良いのか分からないんだ。
だから僕は起き上がってそっと彼女が握りしてめている拳の上に手を添えた。
言葉で伝えられないなら態度で示せば良い、そう思ったから。
えっ、と聖ちゃんは驚いて僕を見てまた俯いた。

昌
子供たちは元気ですか?

聖
元気ですよ。今日は預けているけど、とても元気にしています。
遠回しに僕がいなくても大丈夫と言われている気がした。

昌
ーーーなんか情け無いですね。

聖
えっ?どうして?

昌
聖ちゃんが出て行ってから何もやる気が起きなくて食べる気もしなくて・・・自分一人では何も出来なくて情け無いです。

聖
そんなことは・・!子供たちもいて幸せなのに、良くないって分かってたのに私が逃げたから悪いの。私が黒岩くんを信じてあげられなかったから・・・
僕は彼女の頬に手を添えて伝えた。

昌
ーーー会いたかったです。声を聞きたかった。

聖
ーーー電話にも出れなくてごめんなさい。どこかで疑う自分がいてそんな自分が嫌で、だからまだ黒岩くんと話す勇気が持てなかったの。
一瞬絡んだ視線を外したのは聖ちゃんだった。

昌
黒岩くんって・・地味に凹むからやめて下さい。

聖
ごめんなさいーーー。でも合わす顔がない、晶くんと呼ぶ資格もない。子供達から父親と離して、肝心の父親には体調を壊させて、いろんな意味で私は失格・・・
それ以上自分を卑下して欲しくなくて僕は彼女を強く抱きしめた。

昌
そんなことはない!聖ちゃんは子供たちにとって立派なお母さんだし僕にとっても凄く素敵な奥さん。もっともっと自信を持ってよ。

聖
ーーー晶くん・・・
彼女の涙が僕の病院着を伝って感じた。

昌
聖ちゃんが見た子には僕と同じ年齢の彼氏がいて、なかなか会えないからと相談を受けていただけなんです。ただ聖ちゃんが言うように僕も反省すべき点はあると思ってます。ーーー聖ちゃんがそばにいるのが当たり前で油断してた。こんな思いをするなら何もかも無くしても良い。ーーー聖ちゃんを失うくらいなら・・・
気付いたら今度は僕の頬から涙が溢れていて、
この数日辛かった日々を思い出しては涙が止まらなかった。
それを聖ちゃんも感じたのか、
慰めるように僕の背中をトントンしてくれてる。
それが逆に嬉しくてさらに涙を誘った。

聖
わたし、酷いこと言ったよね。
きっと、好きじゃないと言ったことだと思うーーー。

昌
僕は前にも話しましたけど聖ちゃんと15才で引き離されてから自分の感情を表に出すのを捨てたんです。再会してからも出し方を忘れてしまった。でもーーー、それでも!聖ちゃんに対する気持ちはあのとき以上なんです。こんなに大好きなのに他の人と、とか考えられないんです。
僕は今感じるすべてのことを彼女に伝えた。

聖
・・・嫌いって言ってごめんなさい。
僕たちは仲直りの口づけを交わした。

昌
聖ちゃん、家に戻って来てくれますか?

聖
ーーーはい。

昌
てか今までどこにいたの?

聖
えっ?ーーー晶くんの実家にお世話になってた。

昌
母さん電話で話した時も何も言わなかったけど。

聖
口止めしたからかな(笑)
そして僕はもう一つだけ聖ちゃんにお願いをした。
ーーー子供たちを母さんに任せて、
僕と一緒に夜が明けるまで一緒にいて欲しいと。
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