山小屋に向かうには自転車でも歩きでも無理で、
僕たちは偶然に通りかかったタクシーに乗った。
だけどお互いの手から伝わる緊張から、
手はどんどん冷や汗で冷たくなるしお互いに無言のままだった。
それでも僕たちは目的の場所に前に進む。
タクシーを降りて先に進む道中も手だけは繋いだまま。
ちょうど、聖ちゃんが落ちてしまった山の上を通った時に彼女が口を開いた。
僕はーーー、
聖ちゃんの手をキュッと握り直し先に進んだ。
*
まだ外は明るいーーー、
でもやはり山小屋は人一倍の寒さを感じる。
「寒くない?大丈夫?」
10月も中盤だから思った通り聖ちゃんは小刻みに震えていて僕は暖炉の火を灯し、
2人で暖炉前に横並びに座った。
壁に寄りかかり前に足を出す聖ちゃのこの癖、
とても可愛いと思う。
僕からしたら小柄な彼女だからこそ出来ることではあるけど、
本当に猫みたいだ。
ふふっと聖ちゃんは笑って言った。
*
優しかったはずのキスーーーー、
聖ちゃんが僕の頰に手を触れた瞬間に崩れた気がする。
「ーーーあの時、本当は黒岩くんと1つになりたかった」
という言葉で。
そんなの分かってたよ、僕も同じだったから。
でも教師という立場上、聖ちゃんは出来なかったことも僕は理解しているよ。
ーーーだから、今ここで聖ちゃんを抱くよ。
心で呟き、僕は彼女の唇をもっと深くまで強引に奪った。
すぐに僕を受け入れた聖ちゃんは、
もうされるがままだった。
聖ちゃんから溢れる涙、
幸せそうな顔を見て僕も自然と笑みがこぼれる。
寒かったはずなのに今は暑いーーーー。
聖ちゃんは僕の方に向き直し、
また誘うように抱きついてきた。
聖ちゃん、まだ裸なの分かってますか・・・?
冷静を装って伝えたのに・・・
そう言って恥ずかしそうに僕の胸に顔を埋めた聖ちゃんを僕はもう容赦なく抱いたーーー。
そう、日が暮れるまで抱き続けたーーー。
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