1日、2日、そして3日と月日だけが過ぎていく。
あの日を境に食事も喉を通らなくなり、
仕事も身に入らない日々が続きミスの連発だった。
*
あの日から「私だって好きじゃないよ」という聖ちゃんの言葉と呆れたような表情が頭から離れない。
ーーー悲しそうな顔、
そして哀れむような表情が頭から離れないんだ。
冷静になって考えようと思っても会社にも自宅にも居場所がなく冷静になる余裕がないーーー。
ただ声が聞きたくて話がしたくて何度も電話を掛けるのに電話を取ってくれなくて毎日留守電に残してる。
本当に嫌われてしまったのか?
今まで、この1年は何だったんだろう、とか。
いろんな感情で頭がパンクしそうになり、
僕は取引先のミーティング帰りに倒れた、らしい。
頭がふらっとして「黒岩!」という向井さんの声だけが遠く耳に響いたのは覚えてる。
聖ちゃんもいない。
昔から聖ちゃんしかいらない僕は彼女がいない今、
正直どうでも良かったーーー。
*
僕が目を覚ますと見覚えのない壁紙が見える。
真っ白い壁に広い部屋ーーー。
ただでさえ孤独なのに余計に寂しさを覚える何とも居心地の悪い部屋。
ここが病院の個室であると認識するまで時間は掛からなかった。
幻覚を見ているのだろうかーーー。
僕のベッド脇にうつ伏せで眠ってる・・・聖ちゃんが見える。
手を伸ばし彼女の髪の毛に触れ、夢じゃないことを知らせてくれ安堵と不安を覚える。
会いたいと思っていたのにーーー。
実際に目の前にすると怖かった。
会えなくて会いたいと話したいと思う、
実際に会ったら最悪なことを切り出されるんじゃないかと僕は不安で仕方なくなり、
聖ちゃんから手を離した。
そしてまた僕は眠ってしまったようで次に起きた時、
聖ちゃんはちょうど花瓶にお花を入れているところだった。
僕は目を擦りながらボヤける視界を元に戻す。
僕はまだこの状況を理解していない。
向井さんからの連絡?どういうこと?
聖ちゃんと向井さんが連絡を取り合ってることさえ知らなかった僕はまた不安に襲われた。
それに僕からの電話には出ないのに、先輩からの電話には出ることがすごく悲しかった。
空気を読んだんだろう、
焦ったように身支度をし始めた聖ちゃん。
今にもここから早く逃げたいです、そう訴えられていた。
だから僕はーーー。
久しぶりに会えたこと、
元気そうにしていた彼女を見て不安もあったけど。
やっぱり彼女の声を聞いて嬉しかった。
すごく凄く嬉しかった。
そう言って聖ちゃんは元の場所に座った。
僕はーーー、
こんなに近くにいるのに触れられる距離にいるのに。
触れるのが怖くて話すのが怖くて・・・
「・・・ありがとうございます」
そう言っただけ、
そのままずーと窓から見える星空を眺めていた。
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