【 中学聖日記_妄想 】#89. 原点に戻る*

中学聖日記_妄想

迎えた土曜日ーーー、
金曜が久しぶりにかなり遅くまでの残業となってしまった僕が起きたのはお昼前で起きたら聖ちゃんも澪も潤の姿もなかった。
ただテーブルに用意されてる朝ごはん、
そして「すぐに戻ります。」という置き手紙に少しの安堵を覚えながら僕は朝ごはんを頬張り始めた。

聖
留守にしてごめんね!

慌てて帰宅した聖ちゃん、僕は澪と潤の姿がないことにすぐに気がついた。

昌
澪と潤は?

 

聖
晶くんのお母さんに預けてきちゃった!初めてだったからすごく緊張したんだけど快く引き受けてくれて、ミルクもオムツも必要なものを今届けてきたの!

たしかに僕の実家は聖ちゃんの実家に比べたら近いし、
聖ちゃんが自分の実家にあまり頼りたくないのも知ってるから僕も嬉しいし母さんも嬉しいと思うんだけど僕は聖ちゃんのその行動にとても驚いた。
花火大会の時でさえ預けるのを悩んでいた人なのに、と。

そんな聖ちゃんについていけない僕に対して、彼女は何かと忙しそうにしている。
洗濯物や部屋の換気、そして掃除機と張り切っている様子に見えた。

聖
何時頃出られる?支度できたら出ようか。

一度手を止めて僕に話しかけたと思ったらまた自分の仕事に取り掛かった。
今日の彼女には僕の入る隙間はなさそうだ、
そんな彼女を見ながら僕はフッと微笑んだ。

あまりのんびりしていると怒られそうな予感もしたので僕は出かける支度を始め、
聖ちゃんリードで今は車に乗ってる。
久しぶりに乗る助手席、
聖ちゃんの運転はいつも優しいと思う。
そんな心地よい揺れに揺られながらそっとサイドブレーキに置いてあった聖ちゃんの手に自分の手を添えた。
ちょっと驚いた様子の聖ちゃんだったけど、そのまま僕の手を受け入れてくれた。

ーーーどこに行くんだろ。
長い道のりをひたすら走る聖ちゃんーーー。
ようやくたどり着いた場所は僕もよく知ってる場所だった。

聖
ここ、わたしが初めて晶くんを認識した場所なんだよね。

それはーー、僕が夕日を撮っていた場所。
あの時は恋だとは知らずにイライラしていて、
聖ちゃんに声かけられて逃げたんだったなーー。

聖
晶くんが何を撮ってるんだろう?それにつられて私も一緒に夕日の写真を撮ったんだよ。あの景色を綺麗だと思える晶くんはとても素敵な心の持ち主なんだと思うの。ーーー晶くんは今幸せ?

 

昌
幸せですよ、とっても。

 

聖
私も晶くんがいて澪と潤がいてとても幸せ。だから晶くんに無駄な感情で不安になって欲しくないし、心から元気になってもらいたいって思ってるの。
昌
聖ちゃん・・・。

彼女は気が付いていたんだね、
僕が無理やり振り払おうとしていたことを。

聖
どうしたら元気に出来る?どうしたら分かってもらえる?私に何が出来る?ずっとそんなことばかり考えてて、不安にさせてるってことは私と出会った事を後悔してるのかなって考えてしまったり・・・
昌
それはない!そんなことは絶対に・・・

聖ちゃんはクスって笑って頷いた。

聖
うん、分かってる。私がどうしたら晶くんを元気に出来るかなって考えた時に・・・ここに一緒に来たいって思ったの。初めてあなたを知った場所で、晶くんに伝えたかったんだ。私はきっと・・・ううん、絶対に晶くんが思ってる以上にあなたのことが大好きだって事を。だから勝太郎さんのことで悩む必要なんてないって。私が大好きで必要なのは晶くんだけなの。こらからもずっとそれは変わらないから・・・こんな気持ちになったのは晶くんだけなんだよ?いつも振り回されてばかりの私に自分の道を行く強さをくれたのも、自分の弱さを知ることが出来たのも晶くんがいたから。今の私がいるのは全部晶くんのおかげなの。あなたがいないと私はダメなんだ・・・だから離れたら許さないからね?(笑)

聖ちゃんは笑ってるようで泣いてるーーー。
僕たちは真っ直ぐ見つめ合って立ってーーー。

昌
ーーー離れるわけないじゃないですか!こんなに大好きなのに・・・今、私に何が出来るって言いましたよね?

聖ちゃんはコクンと首を縦に振った。

昌
だったら・・・僕から目をそらさないで。この先もずーと僕だけを見ていてください。

僕は彼女の涙をぬぐいながら、抱きしめキスをした。

想像もできなかったーーー。
あの夕日を撮ったこの場所で、
聖ちゃんとこうして抱き合う瞬間が来るなんて。
あの時の僕には想像も出来なかった。

昌
ありがとう、聖ちゃんーーー・・・

僕はありったけの気持ちを込めて彼女にお礼を言った.

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