迎えた土曜日ーーー、
金曜が久しぶりにかなり遅くまでの残業となってしまった僕が起きたのはお昼前で起きたら聖ちゃんも澪も潤の姿もなかった。
ただテーブルに用意されてる朝ごはん、
そして「すぐに戻ります。」という置き手紙に少しの安堵を覚えながら僕は朝ごはんを頬張り始めた。
*
慌てて帰宅した聖ちゃん、僕は澪と潤の姿がないことにすぐに気がついた。
たしかに僕の実家は聖ちゃんの実家に比べたら近いし、
聖ちゃんが自分の実家にあまり頼りたくないのも知ってるから僕も嬉しいし母さんも嬉しいと思うんだけど僕は聖ちゃんのその行動にとても驚いた。
花火大会の時でさえ預けるのを悩んでいた人なのに、と。
そんな聖ちゃんについていけない僕に対して、彼女は何かと忙しそうにしている。
洗濯物や部屋の換気、そして掃除機と張り切っている様子に見えた。
一度手を止めて僕に話しかけたと思ったらまた自分の仕事に取り掛かった。
今日の彼女には僕の入る隙間はなさそうだ、
そんな彼女を見ながら僕はフッと微笑んだ。
*
あまりのんびりしていると怒られそうな予感もしたので僕は出かける支度を始め、
聖ちゃんリードで今は車に乗ってる。
久しぶりに乗る助手席、
聖ちゃんの運転はいつも優しいと思う。
そんな心地よい揺れに揺られながらそっとサイドブレーキに置いてあった聖ちゃんの手に自分の手を添えた。
ちょっと驚いた様子の聖ちゃんだったけど、そのまま僕の手を受け入れてくれた。
ーーーどこに行くんだろ。
長い道のりをひたすら走る聖ちゃんーーー。
ようやくたどり着いた場所は僕もよく知ってる場所だった。
それはーー、僕が夕日を撮っていた場所。
あの時は恋だとは知らずにイライラしていて、
聖ちゃんに声かけられて逃げたんだったなーー。
彼女は気が付いていたんだね、
僕が無理やり振り払おうとしていたことを。
聖ちゃんはクスって笑って頷いた。
聖ちゃんは笑ってるようで泣いてるーーー。
僕たちは真っ直ぐ見つめ合って立ってーーー。
聖ちゃんはコクンと首を縦に振った。
僕は彼女の涙をぬぐいながら、抱きしめキスをした。
想像もできなかったーーー。
あの夕日を撮ったこの場所で、
聖ちゃんとこうして抱き合う瞬間が来るなんて。
あの時の僕には想像も出来なかった。
僕はありったけの気持ちを込めて彼女にお礼を言った.
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