福岡出張から自宅がある都内に戻ってきて1週間、
僕と聖ちゃんは本腰を入れて結婚式の準備をするようになった。
子供たちの昼寝の間に彼女は探してくれていて、
僕が帰宅すると嬉しそうに楽しそうに話してくれる。
そんな姿に僕は幸せを感じていた。
*
結婚式をしたいね、と漠然と話していた時は山江天満宮にこだわっていた。
だけど僕は彼女と結婚式をあげられるなら正直どこでも良いと思ってる。
一生に一度となる結婚式、
きっと・・・絶対に聖ちゃんは美しいに違いない。
だからこそ彼女が気に入った場所で、
思いっきり楽しめるような式をあげてもらいたいと心から思ってる。
ここ最近は子供たちの昼寝時間を狙って彼女は結婚式情報雑誌を見てくれている。
僕が仕事から帰ると今まで寝ていたことが多い聖ちゃんだけど待ってました、かのように飛んでくるようになった。
嬉しいんだけどーーー、
すごく嬉しいんだけどそれ以上にその光景が面白い。
そして気に入った式場をいくつかピックアップしてはインターネットで調べたりしてくれている。
僕はーーー、
出張から戻って仕事が落ち着いたとは言っても昼休みに調べたりする事はできない。
だから聖ちゃんに任せっきりになってる。
それが本当に申し訳ないーーー。
自分の世界に入ってる僕に聖ちゃんが少し怒った口調で話しかけた。
きっとーー、何度も話しかけたんだろう。
無反応の僕に苛立ったんだと思う。
疑惑を持つ視線を送られながらも僕は彼女が見ていたページに目をやった。
チャペル形式の結婚式、
そして夕日とまでは言わなくても時間を選べばサンセットが見えそうな感じのおしゃれな式場だった。
だけど、僕は聖ちゃんの機嫌を損ねてしまったようだ。
そう言って彼女は情報雑誌を僕から取り上げて、
本棚にしまった。
聖ちゃんも自分の昼寝の時間を割いてまで調べてくれて、
眠いはずなのに夜も僕と話そうと起きてくれてる。
本当に感謝してるーーー。
だけど不思議だけど・・・
僕は彼女といるとどうしてか空想の世界に入ってしまうんだ。
過去の思い出だったりこれからのこと、
彼女と僕の物語を空想してボーとすることが多いんだ。
ーーー明らかに僕が悪い。
お風呂に向かう彼女の背中を見て本当に申し訳ない気持ちになった。
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