それから時は流れ、
あんなに暑かった日々が嘘のように木枯らしが目立ち始める季節になった。
*
澪と潤も半年、
僕たち夫婦は軽くお祝いをした。
前日に聖ちゃんが子供達を連れて風船を購入しに行ってくれ、
当日も少しだけ飾り付けをした。
インターネットで調べてみると店舗で見つけるのが難しいから、と王冠を手作りするお母さんたちが多かったことから聖ちゃんも子供達が寝静まったのを見計らって王冠を作り上げた。
細かい作業が苦手な聖ちゃんにとって王冠を作るのはとても大変だったみたいだけど、
出来上がった時に嬉しそうに僕に見せてきた瞬間は年上なのに子供みたいで本当に可愛かった。
そしてーーー、
もうすぐ始まる離乳食を少しずつ調べながら不安という言葉が今の口癖になった。
離乳食は一度始めたら止めることは出来ないと言われている、
だから聖ちゃんはいつからスタートするのかいまだに悩んでいた。
僕があまり口出ししても作るのは聖ちゃん、
だから僕は見守ることしか出来なくてそんな自分が歯がゆかった。
*
そして、僕はーーー。
年に一度の部長との面談で26歳になる入社四年目に入る来年、
お給料が大幅に上がることが決定した。
きっと入社数も関係しているけど、それ以上に僕のレポートが部長はもちろん会社の人たちに認められたことが大きな要因だと思う。
聖ちゃんがいるから仕事を頑張れる、
子供達がいるから仕事を頑張れる。
帰りたいと思える場所があるから頑張れる。
守りたいものがあるから頑張れる。
ーーー僕のすべての源は自分の家族。
お給料が上がることで聖ちゃんは大喜びするかと思ったら「上がった分は貯金に回そうね!」と堅実な答えが返ってきて僕は逆に驚いた。
ーーー今彼女が欲しいものはないのか。
ーーー旅行に行きたい、とかないのか。
いろんな思考が僕の頭に巡って来ていたけど、聖ちゃんはただひたすらに愛しそうに大切に子供達の面倒を見てくれている。
そんな彼女の姿を見てーーー、
そろそろ本格的にやっていこうと思った。
僕のーーー、
僕たちの念願の結婚式のことを。
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