時計を確かめると既に20時を回ろうとしていて、
真夏の夜の暑さもあり僕達は帰路に向かうことにした。
*
僕は先に立ち上がり聖ちゃんに手を差し伸べた。
あの日と違う体勢ではあったけど同じように手を差し伸べて立たせてあげようとした。
ーーーなにを思ったのか自分でも自分の行動に驚いた。
手を差し伸べただけのはずの僕は、
あの日のデジャブのように力強く彼女を抱き寄せて少し強引に唇を重ね合わせた。
一度唇を離し、不思議そうに見つめる彼女にもう一度。
ゆっくりゆっくり口づけをした。
あの日のように彼女は僕の背中に手を回してくれ、
唇を離しても僕たちはしばらくの間抱き合っていた。
あの時と同じようにーーー、
ただ違うのは僕たちの関係とお互いを思う気持ちの重さのような気がする。
*
しばらくして電車に乗った僕たちは母さんに連絡を取った。
「二人とも良い子だったわよ。もう寝ちゃってるからゆっくりしてらっしゃいよ。」
という母さんの言葉に甘え、
夕方からなにも食べてなくてお腹空いていた僕たちは軽く駅前で夕飯を取り、そのまま自宅に戻った。
ーーー暑い中歩き回り汗でベトベトしていたこと、そして聖ちゃんが着替えてからお迎えに行きたいと言ったからだ。
その証拠に聖ちゃんは帰宅すると同時に洗面所に走り、
セットされていた髪の毛を無動作にほどき始めた。
リビングに戻ってきた彼女を見て、
普段見慣れない着物姿と髪の毛を下ろした彼女の姿を見て僕はとても我慢出来なくなった。
ーーー彼女を抱きたいって、思った。
僕は彼女を目の前にして・・・
僕の隣に座る彼女の髪の毛を軽くほぐすように触り、
グッと我慢した。
僕が作った拳を握りしめるように聖ちゃんの手が重ねられ僕に言った。
と。
僕は聖ちゃんはお風呂入ってすぐにお迎えに行くものだと思っていたから、
驚きを隠せなかった。
僕にそう言うと彼女の手が僕の頰を包み、
今度は僕が唇を奪われたーーー。
滅多にない、本当に稀な積極的な聖ちゃんに僕も興奮する。
息遣いのために離された唇を今度は僕が奪った。
「んんっっ・・」
とっさに出た声すらに興奮を覚えながら僕は頬張るように彼女の唇を奪うーーー。
そして暇していた右手で彼女の着ていた帯ひもを外し一瞬にして彼女は浴衣から解放された状態になった。
恥ずかしそうに目を逸らす聖ちゃんーーー、
今さらって思ったけど僕は彼女の手を引いて寝室に向かった。
寝室に入ったと同時に僕はまるで餌をもらえてなかった怪獣のように彼女に食いついたーーー。
驚く様子もなくただ彼女は受け入れてくれる。
浴衣姿だった彼女が下着姿に、さらには僕の手によって着衣が全て脱がされる状態となった。
そして僕が彼女にしたようにーーー、
今度は彼女が僕の着衣を脱がしてくれている。
半袖シャツを着ていた僕のボタンを1つずつ丁寧に外し、
僕の素肌が見えると愛しそうに胸元を彼女は触った。
そして麗しい瞳を僕に一瞬向け、僕の胸元にキスをして頰を寄せてきた。
「気持ち良い・・・」
彼女は何度もそう呟いた。
肌と肌が触れ合う、それは本当に気持ちが良い。
僕はそれを彼女を通して知ったーーー。
花火大会という奇跡が、
浴衣という奇跡が僕と聖ちゃんを1つに結んでくれた。
僕たちを興奮させてくれた。
*
2度の情事を済ませて、
急いで支度をして僕たちは実家に向かった。
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