聖ちゃんと一緒に見る花火は僕が想像していたよりも何倍もーーー、
もっともっと嬉しくて胸がくすぐったくてーーー。
「綺麗だね」と囁く君に、
どれだけ聖ちゃんの方が綺麗だよ、と思ったか。
このまま時が止まれば良いのさえ、と思った。
*
たった30分の花火大会、
決して大きな規模の花火大会ではないけど僕はとても幸せを感じた。
出会って10年ーーー、
こんなに愛しい人が隣にいて笑いかけてくれる。
ただそれだけで人の心はこんなにも幸せになれるもんなんだな。
ーーーありがとう、聖ちゃん。
楽しそうに花火を見上げる聖ちゃんに僕は胸中メッセージを送った。
また来年も、再来年もーーー、
今度は子供達を連れて来てあげたいと思った。
*
あっという間に花火大会も終わり、
周りの人たちは続々と解散していく。
僕と聖ちゃんはお互いに動こうとせず、
その場にひたすらに座り続けたーーー。
きっと思ってることは同じだと思う、
あの頃の僕と聖ちゃんをきっと彼女は思い出してる。
初めてキスを交わしたあの日、
きっと去年のプロポーズのことも。
幸せだった。
ただ聖ちゃんの横に座っていることが本当に幸せだと感じた。
聖
やっぱりここは私にとってとても大切な場所の1つだな。
聖ちゃんがボソッと言った。
昌
僕がキスした場所だから?(笑)
聖
それもあるよ。あの時あの日があったからきっと今の私がいて、晶くんに愛することの大切さを教えてもらった気がする。前に晶くん私に言ったよね。晶くんと再会して会いにきてくれた時、あの日のキスも僕が無理やりしたようなものだって。私その言葉がずーと気になってて・・・
昌
だって実際にあれば僕が勝手に・・
聖
確かにそうだったかもしれない、でも私は凄く嬉しかったんだよ。あの時にはもうあなたに異性としての感情を持ってしまっていたからいけないと理解していても凄く嬉しかったの。だからーーー、あのキスの思い出を自分だけのせいだなんて思って欲しくない。本当に嬉しかったんだから。
聖ちゃんは少し頰を紅らせながら僕の目を見て伝えてくれた。
ーーー今日の聖ちゃんには敵わない。
昌
ーーー聖ちゃんこそ、生まれて来てくれてありがとう。僕と出会ってくれて結婚してくれて、可愛い子供達を産んでくれてありがとう。
僕はありったけの想いを彼女に伝え強く抱きしめた。
ーー誰も見ていない、誰にも邪魔されない、
二人だけの思い出の花火大会になった。
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