【 中学聖日記_妄想 】#3. 大人になれない大人!

中学聖日記_妄想

聖ちゃんが日本に帰国して数ヶ月ーーー、
頻繁に連絡を取るわけでもなく会うわけでもない。
だけど僕は嬉しかった。
ただただ隣に聖ちゃんが、大好きな人がいることが。

その一方で僕は気がつかないところで気を張っていたようだ。
会いたいという一心で平日の残業を無理なくこなしていたはずなのに約束していた土曜日に体調を崩した。
聖ちゃんは電話越しで言った。

聖
再就職決めてきちんとお母さんにご挨拶に行くまでおうちに行かないと決めたからお見舞いは行けない。だけど黒岩くん、わたしのために無理はしないで?私のせいで体を壊しちゃったら元もこうもないんだよ?

心配してるのか叱られてるのか分からない感情を抱きながら、
僕は眠りについた。

 

女
母さん
今日、末永先生が挨拶に来た。お仕事も決まったそうよ。
昌
えっ?聖ちゃんは何も・・

後日、聖ちゃんが母さんに挨拶に来たと聞かされた。
あの夏の日も突然に学校から去った、
そして18の冬も僕には心配かけたくないと先生をやめたことを言わなかった聖ちゃんーーー。
ほんっとくだらないと思うけどーーーー。
今度はどんな理由があるのだろうか?

女
母さん
晶をよろしくお願いします、今度はそう伝えておいた。

ただ唯一5年前と違うのは母さんが俺たちの関係を認めてくれたことだ。

昌
ーーーありがとう。

その夜、ぼくは聖ちゃんに電話した。
普段あまり連絡を取らないから何だかドキドキした。

昌
母さんから聞いたよ、会いに行ったって。
聖
なかなか連絡できなくてゴメンね。やっと仕事が見つかってね、そのまま黒岩くんのお母さんに会いに行ったの。
昌
ーーーどんな仕事をするんですか?
聖
タイでね外国人に日本語を教えるのが本当に楽しくて。だからずーと日本語学校の先生募集を探しててやっと見つけたの、そこで働こうと思ってる。
昌
先生、続けられるんですね?ーーー良かったです、聖ちゃんの夢を奪わなくて。
でも・・僕は母さんじゃなくて、聖ちゃんの口から一番に聞きたかった。どうしていつも勝手に行動しちゃうんですか?前にもくだらないって言いましたよね?
聖
それは・・・
黒岩くんも体調壊してて大変だと思って・・・。
昌
それでも!僕は誰よりも一番に教えて欲しかったです。誰よりも先に知りたかった。それだけ言いたかったんで。

やっぱり僕はまだ大人になりきれない大人だと思う。
聖ちゃんの言い分も聞かないで、
自分の言いたいことだけ伝えて電話を切ってしまった。

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