日曜日は休みにも関わらず早起きの聖ちゃんは、
ソワソワと落ち着きがない。
台所に行ったりベランダに出たり、
断捨離をしようと言い出してゴミ袋を手にして来たり。
1人忙しくしている。
ーーーその理由は分かってる、
僕がこれから岩崎と会うからだと思う。
少し無理して笑顔を作ってるのが俺でさえも分かったから、
僕は彼女を強く抱きしめて「行って来ます」と伝えた。
*
いつもの九重たちと会う店ではなく、
和えて違う店を選んだ。
「ごめん、遅れて」
僕が到着すると既に岩崎は座ってて、
僕も自分のコーヒーを受け取ってから彼女の向かい側に座った。
「まさか黒岩から連絡来るとは思ってなかった、この前のことだよね?ゴメン!私もどうかしてて、忘れて?」
「ーーー分かった、忘れる!だけど岩崎には伝えておくべきだと思うから。オレ、やっぱり先生のことが好きで、その気持ちは9年前から変わってなくて。もっと強くなってて・・・だから岩崎に納得してもらえなくても先生と一緒にいたいと思ってる。」
岩崎は驚きのあまり口を開けた状態だった。
「ちょ、ちょっと待って。末永は?!一緒にいたいって何?」
「今、先生と一緒に住んでる。」
「はぁぁぁ?ーーーだからなんだ。この前、久しぶりに会ったのに末永も黒岩も挨拶もしないしお互いに驚くこともなかったもんね。」
「ーーー岩崎の気持ちは中学の時から知ってたけど、気づかないふりをしててゴメン。」
「だったら今度こそ教えて。高校の時、末永と再会する前・・・私のこと少しでも好きでいてくれた?」
ーーー聖ちゃんが小学校で働いてると知って駆け出した18歳、
あの時も岩崎に同じ質問をされたのを思い出した。
「・・・ゴメン。友達としては尊敬してる。だけど異性として岩崎のことを好きになったことはない。」
「そっか・・・黒岩ありがとう。」
「えっ?」
「確かに私はあんたのこと好きだったし今でもしょっちゅう思い出す!でもそれはきっとハッキリ振られることもなく曖昧な態度を取られていたからだったんだなって分かったよ!ハッキリ言ってくれてありがとう!」
「ーーー岩崎のこと、好きになれなくてゴメン。」
「地味に傷つくからそれやめてくれる?(笑)」
そしてオレと岩崎はカフェを出て、
お昼ご飯だけ共にしてそれぞれの道に戻った。
「末永を待たせた分、幸せにしてあげなね!」
最後に岩崎はそう言ってた、
それがどんなに心強かったか。
これでもう僕たちを妨げるものは何もない、
そう思い軽い足取りで僕は自宅に戻った。
*
自宅に戻ると部屋はとても綺麗に片付けられていて、
とても静かだったーー。
出かけたのかな、
と静かにリビングに入るとテレビの前で何かを抱えながらスヤスヤと眠ってる聖ちゃんの姿が目に入った。
起こさないようテレビを消して、
彼女にブランケットをかけてーーー。
聖ちゃんが抱えている紙切れに目をやる。
それはーーー、
僕たちの体育祭の集合写真、と。。。
僕が聖ちゃんに渡したハチマキだった。
*
勝手に聖ちゃんのサイドミラーに置いていったハチマキ、
聖ちゃんの手に渡ったのかさえも分からなかった存在。
ーーー無事に手に渡っていたことが嬉しいんじゃない、
月日が経った今でも大切そうに握りしめてくれていることが嬉しいんだーーー。
僕が聖ちゃんの頭を撫でてしまったことで、
起こしてしまったようだ。
「あっ、これ?」
「もう捨てられてると思ってました(笑)」
「ーーー知らなかったです」
「だから返さないからね?私の大切な宝物だから」
「聖ちゃんにあげたものだからいりませんよ(笑)」
良かった、
そう言って立ち上がる聖ちゃんを僕は強く抱きしめた。
「ありがとう、黒岩くん」
聖ちゃんは僕の腰に腕を回し、
抱きしめ返してくれたーーー。
本当はこのまま抱きたいーーー、
でも聖ちゃんの時を待つと決めたんだ。
だから僕は我慢する、
自分に喝を入れてキスだけ彼女に落とした。
読むの大変だと思いますが若干最終話に近くて、
インスタ更新が多かったせいもあり、ごめんなさい!
今後はこっちでもインスタと同時進行で更新していきますので、
おそらく多くても1日2回、少なくても1日1回となるはずです(笑)
妄想や書いたりが大好きなので多かったらごめんなさいです!
今後ともこのブログをよろしくお願いします♡
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