【 中学聖日記_妄想 】#26. 読めない母さんの心*

中学聖日記_妄想

「ちょっとお店を手伝って欲しいの」
母さんから連絡が来たのは次の週末のことだった。
結構母さんとは連絡を取っている方だとは思うけど、
ここ最近は実家に顔を出すこともなかった。
ちょうど良い機会だと思って聖ちゃんに相談したらアッサリ「行ってきたら?」と返って来たもんだ。
寂しさとか微量たりとも感じないんだろうか。
しまいには「お母様も寂しいと思うし泊まってきたら?」だと。
ーーーまあ彼女の言葉に甘えて泊まることにしたけど。

*

久しぶりに会う母さんの第一声は・・・
「ちょっと太ったんじゃない?」
「うるせーな」
「それだけ幸せってことよね?」
けなしてるのか喜んでるのか女っていうのは意味がわからない時があると思う。
ーーーでも今はとても幸せだよ、母さん。
母さんが許してくれたからこの幸せを手に入れられた、
本当に感謝してるよ。
「で、何を手伝えば良いの?」
「あっ、そうね!これをね・・・」
ジョフィさんがお母さんを連れて旅行に行ってるみたいで大量に届いた商品を梱包して欲しいとのことだった。
僕は無心で梱包を始め、
母さんはいつものようにバタバタと足音をさせたり電話していたりと忙しそうだった。

「助かったわ、晶がきてくれて!無事に終わったし、ご飯食べて帰る?持って帰っても良いわよ?」
「今日は泊まるよ。聖ちゃんがそうしたら、ってさ。」
それに聖ちゃんに正式にプロポーズしたことを母さんにはまだ話していなかったから、
ちゃんと話さないとと思ったから。
「なら自分の部屋に寝なさいね、そのままだから」
「ーーー母さん。オレ、聖ちゃんと結婚したいと思ってるんだ」
「そう。末永先生は何て?」
母さんは驚くこともなく、ご飯を口に入れている。
「夏に正式にプロポーズした、聖ちゃんも受け入れてくれたよ。」
「早くした方が良いわよ。」
「何で?」
「末永先生は晶より年上なのよ、子供を産む年齢を考えてあげないと。それに結婚ってタイミングを逃すとそのまま流れてしまうこともあるのよ。」
「ーーー聖ちゃん、妊娠してたんだ」
「えっ?そなの?早く言いなさいよ!晶のプロポーズなんかよりそっちのが嬉しいじゃない」
僕の知ってる母さんじゃないみたいに浮かれている。
だから言いにくかったけど・・・
「でもダメになっちゃったみたい、この前。期待させてゴメン。」
「何であなたが謝るの?それは違うでしょ?末永先生は大丈夫?今1人にして大丈夫なの?」
「大丈夫だと思う、けど。」
「ーーー帰りなさい、晶。」
「は?」
「今、晶が彼女を支えないで誰が支えるの?辛いことが起こった後に1人になったら不安で仕方ないのよ、女性は。」
「でも・・・!聖ちゃんが行って来いって・・・」
「良いからご飯食べたら帰りなさい。あとこれを持って帰って。末永先生にも食べさせてあげなさい。」
突然夕飯だった煮物をタッパーに詰めて袋に入れ、
かなり強引にオレは家から追い出されたーーー。

何なんだーーーー。
あれだけ聖ちゃんに会うのを反対していた頃とは別人のように、
今度は彼女の元に戻れって。
母さんの考えが理解出来ずに、
僕は悶々としながら自宅に戻った。

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