【 中学聖日記_妄想 】#94. 過去の思い出*

中学聖日記_妄想

僕は聖ちゃんの手を取りながら、
いつも以上に早歩きで人気のない場所に移動した。
そして立ち止まってお互いの視線が絡んだ時、
2人同時にフッと笑い出したーーー。

*

昌
ーーー混んじゃうし向かいましょうか!

お互いの落ち着きを取り戻して僕はもう一度彼女の手を引き、
花火大会の会場へーーー。
岩崎と来てしまった苦い思い出の海に向かっていた。

聖
ーーー待って、こっちは嫌・・・

だけど、会場に向かっていたのに聖ちゃんが突然立ち止まって泣きそうな小さな声で僕につぶやいた。

昌
でも会場は・・・こっちですよ?
聖
どうして今年はこっちなの?あの海じゃダメなの?

聖ちゃんが言ってるのは、
僕たちが初めてキスをした海のことだーーー。
去年僕がプロポーズをした海のことだ。

昌
あの海からでも見えますけど、こっちのが綺麗だと・・・
聖
でもそこは岩崎さんとの思い出がある場所でしょ?そこに行って彼女のことを思い出す?私はきっとーーー、あの日の黒い感情の自分を思い出す。だからイヤ。

ーーー聖ちゃんは目に雫をためて僕に訴えた。
僕は何も応えることができなくて視線を下に移動すると聖ちゃんの強く握られた拳が見えたーーー。
そんな僕に呆れたのか聖ちゃんは何も言わずに僕の前から立ち去ろうとしたから、
はぐれないように無理やり手を繋いで無言のまま僕たちはあの海に移動した。

*

聖
せっかく誘ってくれたのにゴメンね、でも他の人との思い出がある場所で晶くんと一緒に見たくなかったの。

浜辺に座ると同時に聖ちゃんは苦笑いしながら話し出した。

昌
僕は・・・
聖
綺麗な花火を見せようとしてくれたんだよね、分かってる。でもあの場所に行くと・・・あの日のことを思い出す。あの日ーーー、岩崎さんと晶くんが抱き合ってたこと、キスしていたことを今でも鮮明にーーー覚えてる。あの時抱いた感情を今も抱きたくないの。
昌
あれはあいつが勝手に・・・!
聖
ほらね、思い出せば晶くんも覚えてるでしょ?(笑)だからイヤなの他の人との思い出がある場所には行きたくない。
昌
僕だって勝太郎さんと行った場所に行きたいとは思いません。でもそれは過去で、今ここに聖ちゃんがいるのはあの人がいたおかげもあるし過去だから・・・過去として受け入れるしかないと思うようにしてます。
聖
ーーそっか。

それ以上、聖ちゃんは何も言わなかった。
ただひたすらに空を見て花火が始まるのを待っていた。

僕はなんか分からないけど。
何か不安で彼女の手の上から自分の手を添えた。
それだけなのに愛しくて、僕に照れ臭そうに微笑んでくれた彼女が愛しくて・・・
握り締める手に力を込めた。
聖ちゃんはそれに応えるように僕に微笑んだ。

 

こんなに遅くなったのにたくさんの方が読んでくださっていること光栄です!
本当にありがとうございます♡
娘が夏休みに入り毎日一緒に出かけて寝落ちしてますが、
更新できるように頑張るのでこれからもよろしくお願いします!

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