【 中学聖日記_妄想 】#43. 送別会の始まり*

中学聖日記_妄想

僕と聖ちゃんの平和な1ヶ月はあっという間に過ぎていき、
海老原の送別会の日を迎えた。

*

聖
別々に行こう?わたし、ちょっと遅れて行くから・・・最初から私がいたら楽しめないでしょ?

すごく遠慮がちに聖ちゃんは言ってたけど、
送別会は建前で僕は九重が聖ちゃんのために開いてくれた会だと思ってる。
だけどそこで僕が聖ちゃんを説得しようとして逆に行かないとなっても困るので承諾して、
僕たちは近くの駅まで一緒に行き彼女は本屋に寄ってから向かうと言った。

だから僕が送別会が開かれてるレストランに着いた時、九重は心底驚いた表情をした。
「まさか来ない系?」
「ーーーいや、遅れて来る。」
なら安心!とでも言うように肩を強く捕まれ、
僕は海老原や岩崎の座る席へと連行された。
そこには香坂や白石も当たり前のように座ってた。
「末永呼んだんでしょ?来るの?」
まるで僕を試すように香坂は聞いてくる、
でも僕は答えなかった。
もう色々詮索されて聖ちゃんが傷つくのは見たくないし後で来るんだから本人に確認すれば良い。

*

海老原の送別会が始まったのは夜6時、
同窓会目的ではないから全員ではないけど大半のメンバーが集まったことに小星平中の絆の強さを感じた。
海老原の挨拶から始まり、
僕たちは乾杯で飲み始めたーーー。
時計は進むこと七時、
僕はいつになったら聖ちゃんは来るのだろうと少しずつ焦りを感じてきた。

そして催促の連絡を入れようとしたちょうど時、
カランカランと言う店に入ってくる音が聞こえてぼくはすぐさま振り向いた。
ーーー分かっていたけど、
それが言うまでもなく聖ちゃんだってことくらい。
でも胸がくすぐったくて嬉しくて、
きっとぼくはニヤニヤしていて気持ち悪かったと思う。

( 聖ちゃん?!)
( えっ?末永?誰が呼んだの?)
という元教え子の小さい声が耳に聞こえたんだろう。
入り口に立ち止まって深く一礼をしていた。

聖
・・あのっ!

聖ちゃんが何かを言いかけて、ぼくは立ち上がろうとした。
「末永、この前はどうも。ーーーとりあえず座ったら?」
とわざわざ自席を立って僕の隣の席に案内したのは意外にも岩崎だった。

ぼくは岩崎にきちんと話をしてから一度も会うどころか連絡すら取っていない。
岩崎からしてみたら聖ちゃんのことは認められない存在だったはずなのにまさか彼女が助け舟を出すとは想像もしなかった。
「先生、元気だったー?今何してるのー?」
香坂は久しぶりすぎなのにも関わらずズカズカ聖ちゃんに攻め寄って来た。
聖ちゃんは少し引いていたけど嫌な顔1つしていなかった。
「元気でしたよ、香坂さんは元気でしたか?」
「優はいつも元気だもーん!ずーと気になっていたことを聞いても良い?」
「何ですか?」
「どうして学校を途中でやめたの?やっぱり黒岩とのことが原因?黒岩に聞いても教えてくれないし、末永なら教えてくれるよね?」
半分脅しに入ってるーーー。

昌
そんなくだらない質問に答える必要ないですよ。

ぼくは香坂を睨みつけながら聖ちゃんに言った。

聖
学校を辞めたのは・・・確かに黒岩くんがキッカケだったけど自分の意思で辞めたの。
昌
答える必要ないって!

僕は少し強く聖ちゃんに言ったけど、
彼女は首を横に振った。
ーーーそして一瞬だけ僕と目を合わせて、
また視線を逸らした。
その時に僕は察した、
彼女はここに来るまでの1時間で覚悟を決めたんだなって。
自分の気持ちに嘘はつきたくない、
そう言っていた彼女だからこその逃げない道を選んだんだろうなと察した。

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