【 中学聖日記_妄想 】#102. 隠れた寂しさ*

中学聖日記_妄想

そして僕は出張の日を迎えたーーー。
僕たちの朝はいつもと変わらない日常。
今日から僕が2週間家を空けてしまうことだけがいつもと違う日常。

*

行ってきます、のキスはいつもより長く感じた。
不安なのはお互いに同じ気持ち、
僕は念のために宿泊先のホテルの連絡先も彼女に渡しておいた。
連絡しないよ、と言っていたけど不安要素を一つでも取り除いておきたかったからという僕の気持ち。

僕は家を出て向井さんと待ち合わせの場所に向かう。
「ーーーネクタイしろ。見えてんぞ。」
挨拶もなく突然発せられた一言に僕は何のことだか理解出来ずに立ちすくんでた。
「信用されてないんじゃないのか?(笑)お前のそこにマーク!」
向井さんは僕の外していた第1ボタンから見える肌に人差し指を向けた。
そしてハッとして視線を動かすと確かに昨日までなかった印がそこにはあった。
朝はバタバタで気付きもしなかったけど、
明らかに犯人は聖ちゃんだ。

*

僕たちはーーー、昨日の夜も体を重ねた。
寂しさを埋めるように何度も重ねたんだ。

今思えば、
昨日は夜遅くなって聖ちゃんたちは夢の中だった。
だから僕が寝室に入った時に目を開けた彼女に少しの罪悪感を覚えて、
お休みのキスを落としたのに彼女はそのまま僕の背中を抑えて唇をを離さなかった。
ーーーもっとそのままでいて欲しい、と言われてると思った。

唇を離したと思えば僕の瞳を見ては恥ずかしそうに視線を逸らし、
抱きついてくる。
首筋に何度も何度もキスをしていると思ったけど、
きっとこの時に僕の体にいくつものマークを付けていたのかもしれない。

スイッチが入ってしまった僕は結局いつものように彼女を何度も抱いたけど、
今思えば彼女の寂しさの表れだったのかもしれない。
前科があるから、不安だったのかもしれない。
ーーーだって聖ちゃんは滅多にこんなことをしないから。

飛行機に乗るまでの空き時間で僕はトイレで向井さんに指摘されたものを確認した。
たしかにネクタイをしないでいたら目立つ、
一つ外すとまた一つ一つ増えていくマーク。
それを見て胸がくすぐったくて、公共の場にも関わらず僕はニヤニヤが止まらなかった。
ーーーそして聖ちゃんに会いたい、とさえ思った。
それが叶わない・・・
そう思っていた時、僕の携帯が鳴った。

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