僕が先輩たちを送って家に戻るとちょうど聖ちゃんは後片付けが終わり食器洗いをしているところだった。

聖
おかえりなさい。
僕が戻ったのを確認すると、
笑顔で迎えてくれそれに僕はなぜか胸が苦しくなった。
*

昌
潤と澪は寝たの?

聖
人が来ることに慣れていないし疲れちゃったんじゃないかな?コロッと寝たよ。
僕は聖ちゃんの横に立って、
洗った食器を拭くことを手伝い始めた。
そんな僕に驚いて聖ちゃんは手を止めて僕を見た。
当たり前だと思う、
だって僕は普段台所に立つ事をしないから。

昌
ーーーあのさ、今日は先輩が色々聞いてきてごめん。あの先輩、聖ちゃんが僕の担任だったことに凄い興味持ってて・・・楽しみにしていてくれてたのに気分悪くさせてすいません。

聖
どうして?私は嬉しかったよ。
聖ちゃんは食器洗いをする手を止めて僕の方を見て言った。

聖
晶くんの会社での様子を私は分からないけど向井さんを通して知ることが出来たし、それに私を知りたいと思ってくれるほど晶くんは信用されているってことでしょ?きっと向井さんは晶くんが大好きなんだよ、だからもし私が中途半端な気持ちで結婚していたなら許さない気持ちがあったんだろうね。それだけ晶くんを思ってくれてる人が会社にいてくれるのを知れて私は嬉しかったよ。それに・・・入社当初から迎えに来ると決めてくれていたのを知れて嬉しかった。ありがとう。
そう言って珍しくーーー、
本当に珍しく聖ちゃんから僕に抱き付いてきた。
ちょうど、彼女の腕が僕の腰あたりで・・・
僕の胸下にギュッと力を込めて抱きつく聖ちゃんを僕は強く抱き返した。

昌
聖ちゃん・・・僕はあの観覧車で別れを決めた瞬間から迎えに行くと決め、それだけを目標に五年間過ごしてきたんです。

聖
ーーー知らなかった。ありがとう、晶くん。
僕の胸下で話すもんだから聖ちゃんの口調に合わせて、
彼女が話すたびに暖かく感じた。

昌
早く片付けちゃいましょうか?ーーー僕、汗臭いですし(笑)
全く僕から離れる気配がないから、
僕の理性が持たないーーー。
そう思って僕は彼女を少し無理やりに引き離した。

聖
ゴメンっ!!!
ハッとしたように照れながら食器洗いに戻った聖ちゃんを見て、
僕は風呂に入ってすぐ、澪と潤の様子を見に寝室に逃げた。
*
今日の聖ちゃんはいつもよりおかしい。
本当は何か思うことがあったんだろうか?
単にテンションが上がって抱きついてきたのか。
俺を誘っていたのだろうか。
そんな事を考えているうちに、
僕も深い眠りについていた。
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