東京に戻り、
僕は会社に甘えていた分の恩返しをするかのように働き始めた。
もちろん1番大切なのは家族、
その優先順位は変わっていない。
だけどそれと同じくらい今やれるだけのことはやろうと決めたんだ。
*
「今日は愛妻弁当か?」
聖ちゃんは前のように毎日お弁当を作らなくなったけど子供たちの様子を見て作ってくれるようになった。
僕も同僚との外食を楽しもう、とお弁当を強要したりもしていない。
「今日は子供達が寝ていたので作ってくれました。」
「10歳年上の奥さんってどうなの?飽きたりしないの?」
「彼女は・・・年上だけど年上に見えないというか、幼い部分も持ち合わせてる人なので飽きたりはないです。毎日新しい発見があって面白いですよ。」
素直に答えただけなのにノロケだと言われ、
九重のように俺の頭をくしゃくしゃにする会社の先輩。
「子供も首すわった頃か?早く会わせろよ。」
「あっ、忘れてました!いーですよ、こちらは先輩に合わせられるのでいつでも来てくださいよ。」
生まれる前からお世話になってて、
生まれたら見に行きたいと言っていたのをふと思い出した。
ーーー本気だったんだ、と。
*
そしてその場で一緒にランチを取っていた計3人の先輩たちが澪と潤を見に来ることになった。
自宅に帰って僕は先輩たちのことを聖ちゃんに話した。
僕は微笑みながら、
キョトンと話す聖ちゃんにたった一言。
それだけ伝えた。
*
聖ちゃんは先輩たちが来るのを楽しみにしてくれていたけど僕はそれ以上に不安も大きかった。
僕の会社での姿ーーー、
変な風に映ってないだろうか、とか。
それにいつも聖ちゃんのことを聞いてくる時は年が離れていることを聞いてくる先輩たち。
僕はーーー、
先輩たちが子供を見たいんではなくて聖ちゃん自身に興味があることに何となく気がついていたから、
聖ちゃんが傷つくんではないかと不安だった。
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