10年前の聖ちゃんは最初は戸惑っていたけど結果的に僕を選ぼうとしてくれた。
もしーーー、もしも・・・
僕が今同じ立場に立たされたとしてもきっと15歳の相手を選ぶことは出来ないだろう。
ーーーあの時の聖ちゃんの覚悟を僕は今思い知った。
*

聖
何が欲しいのか、何を選んだら良いのか分からなくて。
そう言って僕にプレゼントを渡した聖ちゃんは何だかとても恥ずかしそうにしていた。
僕は聖ちゃんの目の前で開封してその中身にフッと微笑んだ。
ーーー僕の人生で使ったことがない定期入れに、
本当に本当に嬉しかった。

昌
ありがとう。

聖
いつも携帯にIC入れてるの知ってて、いらないかなって思ったんだけど。。

昌
そんなことないよ、嬉しいよ、本当に!
僕がそのIC定期を入れようとして開くと中には写真が入れられるようになっていた。
ーーー既に写真が入ってた。
僕と聖ちゃんがこの間スタジオで撮影したマタニティフォトの写真が。

聖
ごめん。気に入らなかったら捨てて。ーーー子供達が生まれたら家族写真、入れて欲しいなって思って。それまでそれで我慢して(笑)

昌
ありがとう!生まれても僕はこのままでも良いです!

聖
・・・こうやって男の人にプレゼントを選ぶのって初めてで、すごい緊張した。わたしに婚約指輪を買ってくれたりした時の晶くんの気持ちがひしひしと伝わって恥ずかしかった。
そんな聖ちゃんが僕は愛しくてそっと抱きしめた。
お腹に響かないよう、軽くそっと。
*
聖ちゃんにとって僕が唯一の男ではない。
きっと勝太郎さん以外にもいたかもしれない、
でも僕はあえて聞かない。
聖ちゃんもきっと分かってるけど聞いてこないから。
それに聞いて良いことなんて1つもないこともわかってる。
だけど僕は勝太郎さんを知ってるからいつもどこかで張り合ってた。
ーーーだから本当に嬉しかった。
聖ちゃんが言った [ 男の人に選ぶプレゼントが初めてだ ]という言葉が本当に嬉しくて、
心のどこかでずーと張り合っていたライバルという糸がプツリと切れた気がした。
コメント