週が明けた真ん中の水曜日、
僕は久しぶりに会社の飲み会に参加したーーー。
新入社員の歓迎会ーー、だ。
本当は断りたかった、何度も断った。

聖
歓迎会は行った方が良いと思うよ。今後のためにも。もし何かあったらすぐに連絡するから。
悩んでいた僕を押したのは誰でもない聖ちゃんだった。
*
それでも何かあってからでは遅いからと、
僕は足元に携帯を置いて歓迎会に参加した。
ーーーもちろんお酒も乾杯のビールだけで断った。
誰も気にする人はいなくて、
逆にそれが助かった。
「もう直ぐ生まれるんだっけ?」
「はい、っていっても予定日はまだ先ですけど・・・」
「生まれたら会いに行かせて貰っても?」
「もちろんです!」
「担任だった先生にも会いたいし?(笑)」
僕と聖ちゃんの出会いを知ってる一番お世話になっている先輩にからかわれながらも、
僕はとても嬉しかった。
誰かがこうして喜んでくれる、その光景が目に見えたから。
ーーーそして二次会に行くことなく、僕はそのまま自宅に帰った。
流石に22時過ぎ、聖ちゃんはまだ起きていて・・・
ソファに横になりながらテレビを見ていた。

昌
ただいま、帰ったよ。ーーー痛い?

聖
うん、ちょっとね・・・
そう、僕が歓迎会に行くことを迷っていたのはこれがあったからだった。
ここ数ヶ月、
お腹が目立ち始めてから聖ちゃんは子供達の胎動をかなり強く感じることが増えた。
特にこの2ヶ月、痛くて夜中に起きることも多かった。
僕はその胎動の痛みが陣痛に変わってしまうのではないかと不安で行くのをためらっていたんだ。
ーーー幸いにも陣痛は来なかったけど、
やっぱりなるべく早く帰って側にいてあげた方が良かったんではないかと少し後悔した。
そんな僕を感じたのかーーー、
聖ちゃんは彼女の側に座って見つめる僕の手を取って微笑んだ。

聖
ーーーもうすぐ赤ちゃん達に会えるね。あと少し、2人の時間を楽しもうね。
その言葉になぜか涙がこぼれてしまった。
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