聖ちゃんが出産して数日、
母さんがお見舞いに来たと聞いた。

僕は毎日仕事が終わってすぐに病院に駆け込むけど、
早くても8時前、だからほんの少ししか聖ちゃんに会えない。
*
僕が潤と澪を初めて抱っこできたのはそるから1週間後の聖ちゃんが退院する日のこと。
赤ちゃんは免疫力が弱いからこっちの都合で抱けるわけではなく、
特にこの病院は赤ちゃんの面会時間も決まっていたから僕は会いに行くことは出来てもなかなか抱くチャンスがなかった。
初めて抱っこする潤はーーー、
小さくて壊れそうで。
小さいのによく動くから今にも落としそうで可愛さよりも落としてしまうんじゃないかという恐怖心の方が先走った。



恥ずかしさを隠すように聖ちゃんは僕から潤を受け取った。
そんな聖ちゃんはもう母親の顔で、
愛しい我が子を抱いて僕の目の前で泣く潤をあやすのも愛しそうに微笑んでいて、
僕はそんな光景がとても幸せだと感じた。
潤に比べて澪はとても落ち着いているのか、
手足だけをバタバタさせていてやっぱり愛しい。
潤に比べて少し体重も重いようで、
小さい子の数グラムってこんなにも分かるものなんだと僕は感心していた。
まだNICUから出られない潤と澪ーーー。
だけどミルクと母乳の飲みがよく想像以上によく成長しているから予定より早く退院できそうだと聞いた。
それまで聖ちゃんは毎日母乳を届けに病院に行く、
負担も大きいけど我が子のためだからと笑顔で僕に言った彼女に涙が出そうになった。
*
「どうか子供達をよろしお願いします。」
僕たちはサクラ先生と小松さんに子供達を託し、
病院を後にした。
ーーー僕が運転する車の中で、
サイドブレーキに手を掛けていた僕の手に聖ちゃんはそっと自身の手を乗せた。

そう言った聖ちゃんは少し涙ぐんでいた。



僕たちは強く手を握り、
そのまま自宅へと向かった。
ーーー子供達が戻ってくる予定は2週間後、
それまで残されている夫婦2人の時間で子どたちが快適に過ごせる家づくりをしようと決めた。
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