お開きとなった送別会、
僕がクラスメイトと二次会に行く行かないで話し合っている中、
聖ちゃんが九重と海老原を呼び止めているのが見えた。
*
「あのっ、うまく言えないんだけど・・花火大会の時とか今回のことも色々とありがとう。直接お礼が言いたくて。遅くなってしまったけど、これ気持ちとして受け取ってもらえたら・・・」
そう言って手に持っていた小さな紙袋を1つずつ手渡していた。
「良いんですか?僕たちは黒岩のためにやっただけなんですけど、ありがたくいただきまーす!」
九重は相変わらずの声が大きくてこっちにまで丸聞こえ、
聖ちゃんは直接お礼を言えたことでホッとしたようでその場から僕たちのやり取りを見ていた。
そして少し落ち着いてから僕の方に歩いて来た。
僕は聖ちゃんが反対方向に向かって歩き出すのを確認、
見えなくなるまで見届けた。
*
二次会に参加したのは半分以下だったけど、
結局話すのはいつものメンバーに加えて香坂。
次の店でも僕たちは飲み放題コースを頼んで、
この日はひたすらに飲んだーーー。
出会ったのは中学生で、
まだお酒なんて飲めた年齢じゃないのに今はこうして乾杯なんて出来る年齢になっているのがすごく不思議で、
また時の速さを感じた。
「で、結婚式はいつを予定してるの?」
相変わらずの香坂、突拍子も無いことを聞いてくるから俺は飲んでいたビールを吐き出しそうになった。
「ーーーなんだよ突然。」
「いつなの?」
「まだ決まってないよ、先に入籍だけしようって話はしてる。心配しなくても香坂は呼ぶから大丈夫だよ。」
「呑気なこと言ってて平気なの?披露宴でお腹出ていますって可哀想じゃない?」
そこに割り込んできたのは岩崎ーー。
「・・・なんの話?」
「えっ、気づいてないの?ーーー多分、末永妊娠してるよね?」
香坂と白石に同意を求め、それを聞いてる九重は驚きを隠せず目をパチクリさせている。
「末永さ、どんなに勧められてもお酒を拒否してたでしょ?それだけじゃないよ、途中気持ち悪そうにもしてたし・・・」
「優も思った!ーーー多分妊娠してると思うよ!女の勘って侮れないよ?」
確かにオレもお酒を飲まないことに少しの違和感は感じたけど、
もともと飲む方じゃないのは知ってるからで・・・
それでもオレは女子2人に言われたことが気になって仕方なく・・・
「ゴメン、帰るわ!またこの埋め合わせはする!教えてくれてありがとう!」
そう伝えて店を出た。
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