僕が目を覚ますと既に聖ちゃんはいなくて、
朝ごはんとお弁当がいつものようにテーブルに置いてあった。
ーーーいつものことなのに何だか非常に寂しく感じた。
*
「わたしのこと好き?」
昨日聖ちゃんは僕に問いかけた。
だけどーーー、
答える間も無く「なんてね(笑)」と自分で誤魔化してそのまま眠りについた。
僕の思いが彼女に伝わっていないのか、
何か僕に対して不安でもあるのか。
そればかり考えてあまり寝付けなかった俺は見事に寝坊した。
でも行き着く結論は結局のところ、 “ そんなはずない “ ということ。
昨日は結婚に対して前向きに話し合いも出来たし、
そんなことを思っていたら結婚に向けて話さないと僕は思う。
ーーーでも僕は何か引っかかって仕方なかった。
*
俺が自宅に戻った頃、
聖ちゃんは夕飯の支度をしていた。
聖ちゃんはあまり外食を好まない、
「腕は自信ないけど栄養を考えて作りたい」という彼女の意向を僕は尊重している。
今日の夕飯は肉じゃがーーー、僕の大好物だ。
「どうかな?」
「ーーーとても美味しいよ」
母さんのとは違う味だけど、
聖ちゃんが作ってくれた肉じゃがも本当に美味しかった。
いつものように僕が食器洗いをして・・・
聖ちゃんの隣に座ろうとしたけど彼女はテレビを見ながら寝てしまっていたようだった。
ーーー彼女にしては珍しいと驚いたけど、
それ以上に彼女の目から雫が溢れていることに僕は驚きを隠せなかった。
聖ちゃん、その涙の理由は何?
ーーー今、聖ちゃんの考えてることが全く分からないよ。
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