【 中学聖日記_妄想 】#21. 念願のイケア*

中学聖日記_妄想

聖ちゃんの運転で向かったIKEAは想像していたよりも大きくてーーー、
そして思ったよりも子供連れが多く混んでいた。
「IKEAのアイス大好きなんだ、とても美味しいの。あとで食べようか」
それは聖ちゃんにとってIKEAは初めての場所ではないことを意味していて、
誰と来たのかなんて想像がついて自分に嫌気がさした。

*

僕たちが今住む家はウッド調の家でマッチするものが見つかるのかどうか、と少しの不安があった。
だけど僕はIKEAに着いてソファを真剣に選ぶ聖ちゃんを見て気づいた。
ソファなんてどうだって良い、
聖ちゃんと一緒にIKEAに来れたということだけで満足なんだって。
「これなんかどうかな?」
「良いんじゃないですか?」
聖ちゃんが選んだのはグレーの落ち着いた色のソファベッド、
試しに座ってみてもフワフワしていて座り心地もとても良い。
ーーー悪くない、と思う。
「候補にしておこうかな。また他のところにもあるかもしれないし、行こうか」

*

結局僕たちは何も買わずにIKEAを出た。
「買わなくて良かったんですか?」
「IKEAだけじゃなくていろいろ探してみるね。また相談させてもらうね。黒岩君疲れたでしょ?帰ろうかーー。」
聖ちゃんは僕の手を取り微笑んだ。
ーーー聖ちゃんから手を繋いでくれるなんて滅多にないから俺は驚きすぎてどう反応したのか覚えてない。

聖
わたしーーー。どうかしてる。
昌
えっ?

車に乗ってエンジンをかけた聖ちゃんは発車することもなく僕に話しかけた。

聖
今日の黒岩君はいつもよりテンション低くて、IKEAが嫌だったのかなって思って後悔したり。
昌
違う、僕は嬉しかったです、一緒に来れて!でもぼくはソファなんてどうでも良くて聖ちゃんがそばにいれば良くて・・・
聖
私も同じなの。黒岩君が隣にいて笑ってくれれば良い、そう思ったの。ーーー早く帰って黒岩君に触れたい、そう思ったの。

ねぇ聖ちゃん・・・
それはぼくを誘ってるの?
今までそんなことを言う人じゃなかったのに、どうしたの?
言葉を伝えるわけでもなく、
ぼくは優しく軽く愛しさを込めて聖ちゃんにキスを落とした。

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