聖ちゃんは想定外のことすぎて、
僕ともう消えてしまった花火の交互を見てる。




聖ちゃんは満遍の笑みを浮かべていた。
そして僕はその美しい笑顔にキスを落とす、
何度も何度もキスを重ねて彼女に伝えた。


そう言って人目をはばからず、
彼女は僕の首に手を回してギューと抱きしめてくれた。
当時の彼女からは考えられない行動が、僕は本当に本当に幸せで嬉しかった。
*
「黒岩くん。この花火、大変だったんじゃない?」
「すごく大変でした(笑)ーーー本当は別の形でプロポーズする予定でした。急遽花火大会の情報を聞いてそれから九重や海老原に協力してもらって、やってくれる人を探したり作ってくれる人を探したりと・・・だから僕嘘ついてました!」
「えっ?」
「ーーー残業だって毎日遅く帰っていたけど本当は定時に帰って業者さんを探したり打ち合わせをしたりしてました!」
「そんな・・・ありがとう。いつか九重くんたちにもお礼をさせてね」
僕たちはもう誰もいない静まり返った真っ暗な海辺で、
手を繋ぎながら話している。
ーーー帰ろうか、
そう聖ちゃんが口に出したのは大きな波の音がした時だった。
自宅に帰るまでの間、
急に現実に戻された僕たちはお互いが恥ずかしくて会話が少なかった。
だけどそれ以上に僕は浴衣から見える聖ちゃんの首筋があまりにもセクシー過ぎて、
我慢出来なくて・・・
玄関に入った瞬間に彼女を後ろから強くバックハグした。
聖ちゃんは驚きながら、後ろから回された僕の手にそっと手を添えた。
「どうしたの?」
「ーーー聖ちゃんの浴衣姿、誰にも見せたくなかった・・」
「えっ?誰にも会ってない・・よ?」
「そうじゃなくて!道行く人たちにも見せたくなかった!俺だけの聖ちゃんなんです!」
聖ちゃんはクスッと笑って、
「とにかく中に入ろうか」と余裕かまして言うもんだから僕は何となく腹が立って、
勢いよく彼女を壁に押し強引にキスをした。
ドンっと音がしたからきっと痛かった、と思う。
「ーーーゴメン、痛かったですよね?」
「ちょっとね・・。」
「理性ぶっ飛んですいませんでした・・」
我に返った僕はまるでふてくされた子犬のように、
リビングに向かおうとした。
「ーーー私の心も身も今は黒岩くんだけだよ。誰が見るとかじゃない、私が黒岩くんしか見ていないんだよ」
そんな僕に背後から話してきた聖ちゃんは少しだけ照れ臭そうに、
でも微笑んでた。
「おれーーー、聖ちゃんを抱きたい。もっともっと聖ちゃんの頭を僕のことでいっぱいにさせたいです」
「これ以上させるの?ーーーでも。私も黒岩くんに抱いて欲しい」
*
太陽の眩しい光で目が覚めた俺は隣に聖ちゃんが眠ってることで安心を覚えた。
昨日はどれだけ彼女を抱いたのだろう、
未だかつて一度だけで済んだことはないけど、
昨日は「もう限界」と折れたのは聖ちゃんだったな。
昨日のことを思い出しながら、
僕は愛しの彼女のおでこにキスを落としーーー。
また眠りについた。
最終的に僕たちが起きたのは昼前。
ーーー僕が起きた時に聖ちゃんは遅めの朝ごはんを作ってる最中だった。



僕は聞き間違いかと思って聖ちゃんの方を見てしまった。
「ーーー行きたいです!」
「良かった。」
聖ちゃんは一緒に暮らし始めてからこの2ヶ月、
ダイニングで話をすることも多いからとソファの必要性を感じており見たいと言うのだ。
「2人で共有するものだから一緒に決めたい」と。
僕は嬉しかったーーー。
僕のことも考えてくれる聖ちゃんの気持ちも嬉しかったけど。
15の時からずーと一緒に行きたいと思っていたIKEAに一緒に行けることが何よりも嬉しかった。
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