これが不意打ちというものなんだなーーー。
聖ちゃんは今にも破裂しそうなほどゆでだこ状態になってモジモジシテいたけど、
そんなこと僕の知ったことではない。
だって最初に仕掛けてきたのは彼女の方なんだからーーー。
僕は彼女に忠告をして、向き合わせになっていた彼女の腰をヒョイっと持ち上げて台所に座らせた。
*
彼女は自分が僕に挑戦してきたことを今更に後悔したのか気まずそうな表情で場所を変えて欲しいと訴えた。
それでも彼女が何か言ってくるのはこれまでの経験上察しがついたから、
彼女の言葉を聞く前に僕は口を塞いだ。
少し考えてみればこうして彼女にキスをするのも、
2人の時間をゆっくり過ごすのも久しぶりな気がする。
あれほどまでに毎日抱いていたのがウソのように最近は落ち着きすぎていた、と思い返した。
福岡出張から戻って約1ヶ月、
出張から戻って以来一度も彼女を抱いていないことに僕は正直驚愕した。
確かにあれから僕たちは本格的に式場探しを始めたし、
夜はあまり話を聞こうとしない僕に苛立って聖ちゃんが先に寝てしまうことが多かったからそんなタイミングさえも逃していた。
お互いに少しでも話そうとすれば苛立ったり、
自分の意見と食い違えばすぐにケンカしていたのは・・・
お互いへのスキンシップが少し足らなかったからかもしれない、とも思った。
*
この一ヶ月を埋めるかのように僕は無心で彼女にしがみついた。
優しくキスを落としたかと思えば、噛みつくように唇を落としたーーー。
次はどっちが来るのか分からない、聖ちゃんに少しの戸惑いと困惑を与えたかった。
僕だけをーーー、
僕だけを見て欲しい、という願望を込めて。
この一ヶ月自分のことにいっぱいで彼女にスキンシップを取ろうとしなかった反省も込めて、
僕は無心に彼女を何度も何度も抱いた。
一寝入りして目が覚めた僕たちは生まれたばかりの状態なのにそのまま横になって話をした。
僕は笑われるかもしれないと思ったけど、
布団の中で彼女の手を繋いでギュッと握りしめて言葉を繋げた。
僕の方を見て微笑を浮かべた彼女は少し恥ずかしそうに、視線を布団にずらした。
冗談交じりで言った僕に彼女は「もう・・・!」と言って反対側を向いてしまった。
僕はそんな彼女が愛しくて、
有無を言わず彼女の上に覆いかぶさった。
さっきから何度も何度も同じことをしているのにどうしてか彼女といると愛しさに増して心地良さも芽生えてくる。
このまま時間が止まれば良いのに、とさえも思ってくる。
聖ちゃんと出会えたのは本当に運命だったと思う、
こんなにも愛しくて大切な存在はやっぱりどこを探しても彼女以外いないと僕は思った。
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