それは本当に突然で、
聖ちゃんからの提案で僕たちはドライブに行くことが決まった。
*
どこに行く目的もなく聖ちゃんの運転で走り出した車は駿河SAに止まった。
注文したお昼ご飯を頬張りながら、
興奮した趣で話す聖ちゃんの様子を僕はひたすら見つめていた。
ーーーただ幸せで、
15のあの時では考えられなかった光景に良い意味で胸が切なくなった。
免許あるの?、的な顔をされたので僕は自慢げに免許証を彼女に見せた。
聖ちゃんと離れて、大学にも合格してから僕は免許を取った。
いつどんな時も聖ちゃんを迎えに行けるように、と。
そう話す聖ちゃんはとても幸せそうで、僕もそれを見て幸せな気分になる。
と言った瞬間に彼女は落ちた。
僕は車を止めて愛しの彼女の寝顔を起こさないよう写メして・・・
また車を走らせた、
僕の行きたい場所に。
愛しい君を乗せながら、起きたらきっとびっくりするだろうと思いながら。
*
僕にはどうしても行きたい場所があった。
ーーー目を覚ました聖ちゃんはきっとすぐにそれを察した。
僕はそう言うと聖ちゃんの手を引いてフェリー乗り場に向かった。
聖ちゃんは何も言わず、ニコッと微笑みながら僕についてきた。
*
フェリーの中でも行き先も分かってる聖ちゃんはそのことに触れることもなく、
ただ風に打たれながら物思いにふけていた。
ーーー僕はその横顔を見ているだけで、その横顔が美しすぎて変な意味で胸騒ぎを覚えた。
「どうしたの?」
不意に問われた聖ちゃんには「何でもないです」と答えるしかなかった。
父さんがいる山江島に到着した俺は、少しだけ寄り道をした。
僕の大好きな聖ちゃんの微笑みが返ってくる。
僕が彼女を連れて行った先は山江島には数少ない神社の一つ。
訳がわからない聖ちゃんはポカーンとしてる。
ーーー今すぐじゃなくても良い、近い将来、僕は聖ちゃんと一緒になりたい。
聖ちゃんの目からは涙が溢れていた。
僕のプロポーズは彼女に伝わったんだろうか。
まだ本格的に感がなくても良いけど、それだけの気持ちで聖ちゃんと一緒にいることを伝えたかった。
聖ちゃんは涙を浸う目を堪えながら笑顔で言ってくれた。
ーーー僕のプロポーズ、
伝わったようだ。
ーーー良かった、心からそう思った。
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