【 君がいる場所 】#04.

君がいる場所

4.

私が優と一緒にやってきたレストランは90分食べ放題のお店だ。
オールマイティな料理がおいてあるにしても、
私はこんなに食べられるのだろうかと正直不安の方が強かった。

「・・・食べ放題?」
「そっ。その方がお互い好きなもんが食べられるだろ?」
優は悪気なく言うーーー。
た、確かにそうなんだけどねと苦笑いをこぼす。
「雪乃はもっと食った方が良い!そのままだったらいつか折れるぞ(笑)」
ケラケラ話しながら言うけど、もう食べ始めてるし!
私も自分が食べられそうなものを取りに行く。
「ここ、部活のメンバーとよく来るんだよ。たまに塁も一緒に来るんだぞ、聞いてないか?」
「えー、知らない!最近ウザがられてるからかな(笑)」
塁は反抗期もあるのか、
最近口出しが多い私をウザがるような目で見る。
お兄ちゃんがいれば良いんだけど、
ほとんど不在だから私が口出してしまう。
「優はさ、何で彼女とか作らないの?」
「めんどくせーじゃん。相手の都合に合わせたりピーチクパーチク泣かれたり。いろんな感情に流されるのが嫌なんだよなー。」
経験者は語ると言ったところかな、と私は尊敬の目を送った。
「なるほど・・・。」
「そういや、この前智也先輩から聞いたけど樹先輩彼女いないらしいぞ(笑)」
「へぇ・・・」
「へぇって仲良くなりたいとかないわけ?」
「ないわけじゃないけど、接点もないし眼中にもないだろうし・・・」
優は私が先輩に憧れを持ってることを知ってる。
何度か協力してくれると言ってたけど毎回断ってる。
誰かに協力してやってもらうのではなく、
本当に先輩とどうにかなりたいなら自分でなんとかしないとダメだと思ってるから。
「まっ。協力して欲しかったら言えよ。いつでも協力してやるわ!」
「ありがとう!」
優は本当に私にご飯を食べさせるためだけに会ったみたいで、
ご飯の途中にクラスの友達からの電話で呼び出しがかかった。
私とのランチタイムを放棄するとかはなかったけど、
解散して走るように友達のいる方向へ行く。
何とも忙しい人だな、と走る後ろ姿を見て感心していた。

私はせっかくなので買い物でもしようと今度は服屋に入る。
でも思うものがなくてスポーツ量販店に入ってバスケコーナーに入る。
私には無縁なのに何となく入ってしまう。
ーーードンっーーー
そこで小さな女の子とぶつかった・・・。
「ふぇぇぇ・・・」
私を見てぶつかったことにハッとした女の子は泣きそうになる。
同じ目線にして笑顔で問いかけた。
「迷子になっちゃった?お姉ちゃんと探す?」
その子はニコッと笑顔になり私の手を繋いで来る。
何とも可愛くて胸の奥がギュッと締め付けられた。

目がクリクリでプリンセスドレスを着てる女の子。
髪の毛はボブヘアでパッツン前髪がとても可愛い女の子。
一緒に手を繋ぎ、エリアごとに分かれてるそのフロアを探す。
その間にこの小さな女の子の話を聞く。
まだタジタジの言葉が可愛くて私はニヤニヤしてたと思う。

「お兄ちゃんがね、バスケしてるの。」
6歳だというその女の子はとてもよく話す。
学校のことやご両親のこと、
自分の好きなこともたくさん話す。
私が手に持ってるスケート靴にも興味を抱いてくれて、やってみたいの!ってずっと言ってくれていた。
彼女は本当に迷子なのかなと思うくらいしっかりしていて、
話している時間がとても楽しい時間だった。

「ゆず!お前、何やってんだよ!」
「あっ!お兄ちゃん!」
ちょうど私が警備員さんのところに着きそうな時に背後から大きな声が響くーーー。
あまりにも大きくて私の体が硬直したくらい。
でもゆずちゃんというその子は嬉しそうにピョンピョン跳ねて声の主の方に向かう。
「ーーーえっ、先輩?」
「え?あっ、どうも・・・。こいつが迷惑かけました。」
そこに立っていたのは広瀬先輩で、
とても不服そうに私に言う。
「とても明るくて楽しい子ですね。ゆずちゃん、迷子にならないように手を繋いでいないとダメだよ。」

私はそれだけ伝えて彼らに背を向けた。

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