5.
先輩とゆずちゃんに軽く挨拶して背を向けた帰り方向に歩き出す私。
先輩にこんな小さな妹さんがいたことがまずは驚きだった。
いつもぶっきらぼうだし、
女子のことも苦手なのかなって思ってたから。
ゆずちゃんの話を聞いていると優しいお兄ちゃんなんだなと思った。
「おねえちゃーん!!!また話そうねーー!」
笑顔でこっちに大きく手を振るゆずちゃんに振り向いて私も笑顔で大きく手を振る。
先輩にも一応会釈をして出口に向かった。
それからまた私はブラブラし、帰宅したのは4時過ぎだった。
珍しく弟の塁が家にいる。
「塁、帰ってたの?」
「おお、おかえりーーー。さっき部活から帰って、腹減ったから冷凍のカレー食っちゃったわ。」
「うん、大丈夫。夕飯は家で食べるの?」
「ーーーうん。あとで友達家に来ても良い?」
「何時ごろ?」
「6時頃。みんなで勉強しようって話になって、4人くらい呼びたいんだけど。みんなバスケ部。」
心の中では引退しても毎日部活に行くのは塁だけだと思ってたから同じように行ってる子がいて少しだけ驚いた。
「分かった。夜ご飯は食べて行くの?」
「良いの?!姉ちゃん作れる?」
「うん、大丈夫。ちょっと食料だけ買いに行ってくるね。」
普段母親がやってる仕事を私がこの家ではやる。
お兄ちゃんも本当に帰ってこないし、
時々腹が立つけどお母さんもお父さんも頑張ってるから仕方ないーーー・・・。
お金だけは仕送りしてくれているからバイトしないで済んでるのも親のおかげだし、
塁をお父さんの元でって話が出た時に引き取ると言ったのはお兄ちゃんと私だから責任持たないとと言う思いが私には強い。
スーパーで買い物をしながら私は優に電話した。
「おー、どした?さっき会ったばっかで恋しくなったか?(笑)」
「違うよ(笑)塁の友達が今から何人か来るから夜ご飯食べに来るんだけど、優も来ないかなと思って電話したの!」
とても賑やかな音が背後から聞こえる。
「良いなぁ・・・オレ、オムライスが食いたい!」
「来れるの?」
「あっ・・・でも今冴島たちといるから今日は無理だわ。」
「雪乃ちゃんーーー!オレとも仲良くしてー!」
背後から賑わう声が聞こえて私は微笑む。
冴島くんは優と同じバスケ部で隣のクラスの子だからほとんど話したことがないんだけど、中学も同じだからいつも優と一緒にいるのを見かける。
「ーーーうっせーわ。雪乃、また今度でも良い?」
「もちろん、お邪魔してごめんね。楽しんでね!」
電話切って大きく深呼吸して私は買い物を続ける。
思春期の男子たちが食べられるものって何だろ?
ーーー優との電話でヒントもらったし、オムライスで良いかとオムライスに見合った食材を手にする。
自宅に帰ると玄関には不揃いの靴たちが並んでる。
もうお友達が家に来てたみたいで私は静かに入る。
自分の部屋で勉強しているのかなと思ったけどリビングで塁を合わせて5人でおしゃべりしながら楽しそうに勉強しているのを見るとホッコリする。
きっと私が口出しすることが嫌で、
塁には塁のやり方があるんだなぁとこの光景を見て思った。
「うまいっ!!!母ちゃんのよりうまい!」
ひと段落して私はその時間に合わせてオムライスを作る。
夜ご飯を自宅で食べると言う子がほとんどだったのに何故か私の作るオムライスも食べてくれる。
思春期って怖い(笑)
「塁の姉ちゃんが雪乃さんだなんて知らなかったですよ!」
うちの学校は名前で呼ぶ習性があるから先生も結構名前で呼ぶ。
そのせいか苗字を知らない人も結構いるし、
増して去年まで同じ中学に通っていたとしても塁とは学年も違うし、塁は優との方が仲良くて私が話しかけるのを嫌がって学校では話すことなかったから姉弟だと言うのを知らない人も多かったみたい。
「結構雪乃さん、俺のクラスでは人気ですよ!高等部に行ったら告白するってやついましたよ!」
「それは光栄です(笑)」
本当かどうか分からない話題に適当に誤魔化して返す。
あまり勉強の時間を短縮しても悪いと思ったから、
私もテスト勉強をするふりをして部屋で動画を見て過ごした。
そんな何もない1日だった。


コメント