【 君がいる場所 】#02.

君がいる場所

2.

幼い頃の私は当たり前のようにスケート選手になるもんだと思ってた。
だけど小学校の時に大きな手術をしてブランクが空いた。
ブランクなんて簡単に埋められるものだと甘く見ていたけど、
この時期のブランクは特に大きくて当たり前に出来たことが復帰した時には全くできなくなっていた。
周りと比べてしまう自分、焦ってしまう自分と戦うのも苦しかった。
教室を退会、スケート自体から離れようと考えたこともあったけどその選択をしなかった。
今思えばやっぱり何があってもスケートが好きだからその選択を選ばなかったんだと思う。
ーーー第一線で出来なくても何か役に立てることがあるかもしれないという気持ちでずっと続けていた。
そしてコーチから幼児にスケートを教えてみないか、と提案してもらい私は快く引き受けた。

断る理由なんて何一つない。
好きなことをしてお金をもらえるのなら喜んで引き受ける。
それから週2回、私はバイトをしている。

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この日もバイトが終わり少しだけ自主練をして帰るーーー。
今は親が遠方にいるから兄と弟の三人暮らし。
医者をしている兄はほとんど家にいないし、弟と二人分のご飯は適当になっている。
ーーー時々幼馴染の優も来るけど彼はなんでも食べるから気にもしていない。
偏食の弟に対して母のようにうまくこなせなくて申し訳なくなるけど、
私も学生だしそんな時間はないーーー・・・。
今夜は焼きそばで良いかなぁ。
ハンバーグにしようかな、って考えながら歩く道ーーー。
「雪乃!」
この真っ暗い道の唯一あるコンビニの前から聞こえてきた大きな私を叫ぶ声にビクッと体が驚きの反応をする。
「優?何しているの?」
私の幼馴染が驚いた顔をして呼んでいる。
「部活帰り。今、先輩たちが買い物してて待ち。ーーー食う?」
アイスを美味しそうに頬張り、食べかけを私に渡す。
「ありがとう、でも大丈夫。」
「ーーーまた痩せたよな(笑)ちゃんと食えよ(笑)」
「食べてるよ?」
優が私の頭の上に手を乗せるーーー。
悔しいけど優は女の私が見てもイケメンだとは思う。
先輩には負けるけど一年女子の中では、特にバスケ部の中では人気が高い方に入っている。
優と親しくて幼馴染だと言うことに対してクラスの子たちはよく羨ましいと言う。
「ーーーなんだよ、気持ちわりーな・・・」
「黙っていればカッコいいのになぁって思ってた(笑)」
優は私の首を掴むように腕を回した。
「どれだ?どの口だ?この口が言ってるのか?(笑)」
私たちはいつもそうーーー・・・。
一度ふざけ始めると止まらなくなる、
一緒に過ごすことが多かったから兄弟のような幼馴染なんだと思う。
「ごめ、ごめんってば(笑)」
終わりの知らないおふざけも永遠と続く。
優はよく話すし内容も楽しいから男女問わずに話が盛り上がる、
いつも人気者だ。

「ーーー優、待たせたな・・・」
ふざけ合っているとコンビニから出てきた3年生のバスケ部の人。
その後ろには私が憧れている広瀬先輩も続いて来ていた。
「ーーあれ、君は確か1年の・・・あれ?樹の・・・?」
私がキョトンとしていると広瀬先輩がその人の靴をドンと踏んだ。
イテっとわめくその先輩は副キャプテンの智也先輩だと優がコッソリ教えてくれた。
「ーーー名前はなんていうの??」
話をすり替えるように智也先輩は私に問いかけた。
「1年C組の秦野 雪乃と申します。」
「偶然こいつが通りかかったんで話してたんですよ。」
優が智也先輩に伝える。
「騒がしくしてすいません。ーーー私はそろそろ帰らないといけないので失礼しますね。お疲れさまでした。」
「気を付けて帰れよ。」
優は私を気にかけた。
「ーーー待て。君はこの暗い中を一人で帰るのか?」
私に話しかけたのは広瀬先輩だったーーー。
初めて会話することに緊張で何も答えられないーーー。
「ーーーはい」
やっと出た言葉がこれには苦笑いがこぼれた。
「方向は同じだ、送る。優・智也、行くぞ。」
話しが付いて行かない私に対して先輩たちはもうスタスタ歩き出している。
後ろをただ付いて行く私だったけど、
この上なく嬉しかった。

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接点なんて絶対にないと思っていたのに、
こんな形で知り合うことが出来たのは奇跡に近いから。

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