3.
私の週末、土曜日はバイトで始まる。
ただ平日と違うのは午前中で終わるから午後は自由時間がもらえる。
お兄ちゃんは病院、
弟は部活に行ってから友達と遊ぶらしい。
中高一貫とはいえ一応受験生なのにと母のごとく口を出してしまうから最近ウザがられている。
仕方ないよ、今はお母さんが不在なんだから。
・
今日のバイトは幼稚園児と小学校低学年だから大人に教えるよりも素直で可愛くて私も癒しの時間をもらえる。
レッスン終わりには友達同士でお菓子交換をしたり、そのまま滑っている子たちも見受けられて、
私が癒しをもらえる。
「ゆきちゃんも食べる?」
ここでは私はゆきちゃんと呼ばれていて、私にも友達のように話してくれるからなんだか嬉しくなる。
「ありがとう。ひとつもらうね。」
断ったら悲しむだろう、といつも自宅でのおやつの時間に食べさせてもらっている。
いつも二時間しかバイトを入れていないからすぐに終わる。
大抵は一人で映画に行くか、自宅に戻ってのんびりするかという週末を過ごす。
時々お兄ちゃんが帰ってくるから一緒に出掛けたりするけど、医者は忙しいようでそんなことは本当に滅多にない。
そして今日は私には珍しく・・・予定が入っている。
昨日の夜、突然優にお昼ご飯に誘われたーーー・・・。
優は私の病気の再発を心配する一人だから少しずつ痩せて行ってる私をすごく心配している。
食べていないわけじゃない、
食べているのに太らないんだよなぁって伝えているのに目の前で見ないと分からないと昼ご飯を食べに行くことになった。
《 部活が長引いて適当に潰してて!》
モテる割に結構真面目て律儀だからこうやって連絡をくれる。
私からしたらそれは当たり前になっているけど、女子たちからするとこういうのも好感度アップなんだろうなとは思う。
中学校の頃、遊んでいる噂が立ったけど私はそれを信じていない。
だってなんだかんだ我が家に遊びに来ていたし、
同じバスケ部で先輩後輩だった優と弟の塁が友達のようにほとんど毎日一緒にいたことも知っている。
《 ゆっくりで大丈夫! 》
ショッピングしながら優の到着を待つーーー・・・。
・
二つのヘアゴムで悩むーーー。
ロングヘアの私はいつも髪の毛をアップにしている。
大きめのゴムが必要でリボンが大きくついたゴムにするか、
シンプルなゴムにするかで今悩んでいる。
「ーーー雪乃にはこっちだな!」
私が両手を使って片方ずつ悩んでるとリボンのゴムを私の手から優は奪う。
「え!いつ来たの!?」
「ーーー今。遅くなって悪かったな。お詫びに買ってやるよ。こっちで良いか?」
「良いよ、見てただけだから!」
断ってるのに人の話を聞かないーーー。
「いや、絶対にウソだな。ーーー雪乃は絶対リボンがった方が可愛いから、こっちにするわ。」
ニコッと笑って大きなリボンが付いたゴムを持ってレジに向かう。
その後ろ姿を見て思った。
強引でうるさい人だけど誰よりも人を大切にする人なんだよなぁって。
ーーー私の初恋相手だったんだよなぁってなぜかここで思い出した。
まだ友達は優をイケメンだとか表面のことしか知らない。
だけどこの人は面白いだけじゃない。
繊細な一面もあるしすごくすごく優しい人ーーー。
彼の心の内に入った人間を絶対に裏切るようなことはしない人ーーー。
もっともっと優の良さをみんなに知って欲しいと思った。


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