【 短編 】バレンタインの奇跡*。

短編小説*

バレンタインの奇跡*。

一年に一度しかない、バレンタイン。
あんなに嫌いだったこの日、
いつから私はこんなに楽しみになったんだろう?
それと同じくらいいつから多くの不安を抱えるようになったのだろう?
恋は盲目とはこのことを言うのだろう。

男
もうすぐ会社出るよ。

大好きな彼と付き合って3年、
今でもほんの少しの連絡でさえも飛び跳ねてしまいそうになるほどに大好きな人。

ーーーすごくモテる人だった。
毎年毎年たくさんのチョコをもらって紙袋にたくさん下げて来ていた。
すごいね、なんて笑っているけど本当はすごく辛かった。
だってそこにはきっと本命の人もいるでしょう?
その人たちがどんな気持ちでチョコを作り、
どれだけの勇気を持って渡したのかを思うと片想いしていた時の自分のようで胸が痛むの。
ーーーその気持ちを知ってるから、
その人たちの想いを踏み躙ってしまってるようで胸が苦しくなる。
それと同時に・・・
いつか心変わりする日が来てしまうんじゃないか、とすごく不安になる。
でも3年たってもこんな気持ちなんて本人には絶対に言えない。
だから私は笑って過ごす。
大好きな人との大切なバレンタインだから。

男
りーーおーーー!

ボーとしていた私に到着を知らせたのは彼のとびきりな笑顔で走ってくる姿。
いつ見ても美しい容姿と笑顔だなぁと見惚れる私。

男
待たせてごめんな、中で待ってれば良かったのに。

ーーーううん、あなたに告白したこのベンチで待っていたかったの。
なんて言わない、首でその言葉を否定した。

あれ?
横に座る彼を見てふっと気づいた。

女
りお
ねぇ、今年はチョコレートの山は?もらわなかったの?

毎年山盛りにもらってくるチョコレートの袋がない。

男
えっ、なに?食べたかった?(笑)
女
りお
ち、違うけど!

不貞腐れる私に彼は自分の手を私の頭に乗せて妹を慰めるように撫で撫でした。

男
すぐ不貞腐れる(笑)そこも可愛いけど、な(笑)

とびきりの笑顔で言われちゃうと何でも許しちゃう私も弱いなぁ。

女
りお
もう・・。
すぐにからかうんだもん・・・。
男
正確には断った、かな?
女
りお
珍しいね?
男
いつもバレンタインの日、不安だったろ?気が付かないふりしていたけど今年はもう良いかなって。不安にさせる人を夫にはしたくないだろうし。今日は会社のみんなに後押しをしてもらいながら来た(笑)
女
りお
えっ?

私の解釈で合ってる?
今、夫って言ったよね?
聞き間違い?
頭の中がクエスチョンマークでいっぱいで、ついていけない。

男
その反応だと思ってた(笑)だからきちんと言うつもりで今日は来た。
ーーーりお、俺と結婚してください。

いつも笑顔でおちゃらけてる彼が真剣な顔で言った。

後味悪そうに照れ臭そうに話す彼は新鮮で胸がくすぐったい。
それにずーと待ち焦がれていた指輪がスーツのポケットから出されて今目の前にある。
ドラマで憧れていたシーンが今私に起こってる。

女
りお
本気?
男
えっ、なに、嫌なのか?(笑)本気じゃなかったら待ち合わせにここを選ばない。りおに告白されたこの場所で今度は自分から気持ちを伝えたかったんだ。で、返事は?

この人は分かってる、私がどれだけ彼を好きか。
私が絶対に断らないことを、知っている。

女
りお
ーーーよろしくお願いします。

嬉し涙ではっきり言葉は返せなかったけど、彼は笑って私を抱きしめた。

男
よく出来ました。

と。

* * *

Happy Valentine’s Day!!!!
皆様にとって素敵なバレンタインであるように♡

* * *

番外編*。

男
はぁ、緊張したーーー!慣れないことは出来ねえわ(笑)

お店に入って彼はホッとしたように深呼吸とともに大きな声が出た。

女
緊張してるようには見えなかったよ?(笑)断られるとは思わなかったでしょ?笑
男
ーーーお前なぁ。一生に一度の言葉だ、そりゃ緊張するに決まってる。まぁ、断ったら死刑もんだとは思ってたけどなっ!

一生に一度、という言葉が何だか嬉しくてニヤけてしまった。

男
おい、喜ぶとかちがうから!(笑)

この2人に幸あれ♡

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