【 短編 】雨降らす娘*

短編小説*

私は雨女ーーー。
生まれた日も、七五三も、入園式も、卒業式も・・・
色んな大切な行事で雨を降らす女ーーー。
母は冗談で「雨女ちゃん」と私を呼ぶ、
父も妹もそれを笑っているだけだった。
ーーー傷ついている私の心なんて知らずに人を笑っていた。
自分の娘を。

だから私は雨が嫌いだーーー。
大切な場面で雨という存在は私の心を暗くするーーー。

「どうした?」
ーーーこの人を覗いては。
彼は会社の同期で入社式に出会って、すぐ恋に落ちた。

ついさっきまで晴れていたのに告白された瞬間に大雨が降る。
ワタシ、雨女だからーーー・・・。
「すげーな!奇跡だな!ワハハ!!最高じゃんか!」
私の悲しみを吹き飛ばすように笑い始めた彼に私は一瞬で恋に落ちた。
ーーー人を否定しない、プラスに考えてくれる彼の考えが今でも好き。
「ーーーまた雨のこと考えていたのか?」
雨の日はどうしても憂鬱になるから、彼と過ごす時間が増える。
「だって・・・今日は大切なプレゼンの日だったし。いつも大切な日は雨が降る・・・」
「良いんだよ、雨を降らせる女であってもオレの女だからな(笑)」
「意味わかんないんだけど(笑)」
彼は私の悲しみを一瞬で笑顔に変えてくれる。

ーーー彼と一緒にいる時間が増え、
家族から少し離れて暮らしている今。
少しずつ雨を好きになれている、そんな気がする。

「ーーー雨の季節は、たくさん一緒に過ごせるから幸せだな」
ボソッと私は呟く。
「雨じゃない季節も一緒に過ごす?」
「えっ?」
少し緊張した趣でポッケから何かを出した彼ーーー。
「エッヘン・・・一緒に暮らさないか?」
差し出された彼の部屋のマンションの部屋鍵を受け取った。

ありがとうーーー。
雨、好きにはなれないけど。
・・・嫌いじゃなくなったよ。

コメント

タイトルとURLをコピーしました