【 君がいる場所 】#41. 焦る気持ち、噛み合わない気持ち*。

君がいる場所

#41.

先輩はすぐに応えてくれないだろう、
そう思っていたけど、
今日の私はいつも以上に覚悟をも持っていた。
ううん、私はそれ以上に焦りを感じていたんだと思う。

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「ーーーまたそれか・・・また誰かに言われたのか?」
「そうじゃない・・・だけど先輩のことが好きだから触れたいと思うのはおかしいですか?」
「・・・その考えは自然なことなのかもしれない。だけど、オレはそれに応えるつもりはない。」
先輩はハッキリと断言した。
「何でですか!?」
「ーーー柊はまだ高校生だぞ?万が一があったらどうする?責任取れんのか?」
冷静に私に伝えようとする先輩が言う。
「それでも環や双葉、須永くんだってみんな経験してる!あの中で経験してないの私だけで・・・」
「周りが経験してたら自分も経験しなきゃダメなのか?・・・初めてだろ?もっと大事にした方が良いと思う。そんな簡単な理由で、オレが柊を抱くことはない。」
ーーーつまり初めての相手は俺じゃない方が良いと言ってるのだろうか。
そして私を抱かないってことは他の人は抱けると遠回しに言っているのだろう。
「どうしたら抱いてくれるんですか?!・・・前、環たちにおかしいって言われた時・・・抱いてくれるって言ったじゃないですか・・・誰なら抱けるのよ・・・」
私は先輩にすがるように先輩の着用していたシャツを引っ張った。
「おい、どうした?・・・またアイツらに何か言われたのか?」
私の手を引き離し、自分の手を私の肩に乗せて問いかけてきた。
私は首を大きく横に振った。
「違う!先輩が好きだから・・・先に進みたいって思うのそんなにおかしいことですか?!付き合って一年過ぎたのに何もないって・・・先輩、私のこと本当に好きなんですか?!それとも忘れられない人がいて、その人の代わりですか?!わたしは・・・先輩の暇つぶしなんですか?」
嗚咽が回らなくなりながら訴えた・・・ーーー。
「なんだそれ・・・本気で言ってんのか?この一年、俺の何を見て来たんだよ・・・。」
「・・・気持ちなんて見えないんだから分からないですよ!!!」
「ーーーはぁぁぁ。抱けば気持ちが見えるんだな?!いいよ・・・抱いてやるよ、こっち来いよ。」
先輩は強引にわたしの手を掴み、
私の寝室を勝手に開けベットの上に放り投げた。
「いたっ・・・」
放り投げられた振動で私は背中を強く打つも、
先輩は気にもしない。
私に覆い被さり全体重をかけて私に身動きを取らせないようにした。
「今からーーー、柊の望む通り、抱いてやるよ。・・・オレは何度も忠告したからな、後悔すんなよ。」
その言葉と同時に先輩は私に今までないくらいの強烈で冷酷なキスをした。
ひんやりする唇から先輩の心の温度が感じ取られる、
愛のないキスってこう言うことだと痛感もした。
「いや・・・やめて・・・」
「抱けって言ったのはお前だろ?!」
先輩は完全にキレている、
私の話なんて聞く耳も持たない。
そして何度も何度も冷酷なキスを落とし、
私の胸に手を当てた。
初めて人に触れられる胸がこんなにも冷たい感触なんて・・・ーーー。
「いやっ!こんなの・・・」
私はもう諦めて涙だけは見せたくないと両手で顔を覆った。
胸を咥えられるーーー、
それも初めてのことなのに、
嬉しいどころか怖くてわたしは身体中が震え出した。
「あぁぁぁぁーーーー!」
そして麗花さんの言うようにわたしは先輩から求められてなかった。
ーーー愛のある行為を求めた私がバカだった。
少しでも期待してしまったわたしが・・・
遊ばれていたんだ、そう思ったら叫ぶ以外他に何も出来なかった。

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「・・・悪い、オレ・・・」
わたしの悲鳴にハッとした先輩、
我に返ったようだった・・・。
先輩は震える私を今度は優しく抱きしめた。
ゴメン、ゴメン、そう何度も呟いてた。
わたしは・・・
もう涙で頭が朦朧として、
意識も曖昧になった・・・ーーー。

目を覚ました時には目の前に剛くんがいた。
「樹はさっきまでいたんだけどな・・・何があった?」
剛くんは心配そうに私を覗き込む。
まさか、襲いかかって大喧嘩になりましたとは死んでも言えない。
「痴話喧嘩・・・」
「それだけか?すごい謝ってたぞ・・・」
「ーーーそれだけ。心配しないで。」

《 昨日は悪かった。しばらく会うのをやめよう。》
先輩からそうメールが来たのは、
次の日の朝だった。

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