【 君がいる場所 】#41. 救急搬送に・・・*

君がいる場所

#41.

普段寒いのは苦手なのに、
温泉街の綺麗にライトアップされた街並みは寒さを忘れさせてくれる。

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温泉からペンションに戻るまでの数分、
私たちは景色を楽しみながら戻った。
途中あったゲーセンに寄ったりもして、
双葉が景品を当てては大喜び。
それにドン引きしてる須永くんの光景も面白かった。
私は樹先輩の隣を並んで歩いた。
「こうしてみんなで旅行行くのも楽しいもんなんですね。」
「家族と行くのとはまた違う楽しさがあるよな。」
「そうなんですねーーー。」
先輩はハッとしてしまったという顔をした。
「悪い・・・」
「大丈夫です、気を遣わないでください。楽しかったし全然平気です。」
私の両親がいないのを知ってるからこそ、
気まずいと思ってしまったんだよね。
気を遣わせてごめんね、と思った。
それと同時に私では自然体の先輩を出してあげるのは不可能なんだというのも分かった。
ーーー環といる先輩は笑顔がすごかった。
昔、里奈さんといる先輩を見かけた時の先輩は素の自分を出しているように見えた。
私もいる時の先輩はいつも気を遣っているように感じる。
「またみんなででも計画立てて来たら良いよ。」
「ーーーですね。」
私は微笑を浮かべて返した。

ペンションに戻って私たちは明日の予定を立てた。
「明日も練習したい!絶対にマスターする!正樹も付き合ってよ!花、樹くん借りても良い?樹くんも良いよね!?」
「今日の3人の光景面白かったよ(笑)明日も楽しみだね(笑)」
「明日もスキーだと柊がつまんないんじゃないの?」
「私もスキーじゃなくても良いかも・・・」
須永くんと双葉が言った。
「私なら大丈夫だよ?写真撮ったりしてるし。明日が最後なんだし楽しもうよ!」
私は笑顔でみんなに伝えたーーー。
本当は私1人で別行動することも考えたけど、
それはそれで心配させるだろうし気を遣わせるかもと思って辞めた。
次の日はトラブルもなく、
私たちは一日中スキー場で過ごした。
私は・・・小さな子供たちと雪だるまを作って遊んだり、
双葉と須永くんカップルの写真を撮ったり、
正樹先輩や環、樹先輩の3人での仲良し風景の写真も撮影した。
夜のうちに写真も共有して、
その写真や動画を見てみんなで笑い合って久しぶりに夜更かしをした。

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帰りは樹先輩の運転で、
長い道中ーーー。
3時間かけて帰路に着いた。
助手席を提案されたけど、
何となく体調に不安を覚えていた私は眠たいからという理由で断った。
正樹先輩が樹先輩の隣に座り、
私は環と隣に1番後部座席に座った。

東京に戻り、
夕飯を食べて帰ろうと話している今ーーー。
私はもう体力の限界を感じていて、またもや断った。
環は断る観念がない人だから不服に感じるかもしれないと思った。
「俺もパス。近くまで送る・・・。」
「大丈夫です、お迎えに来てもらえるので。さっき連絡入れました。」
私を送ろうとしてくれた樹先輩、
でも葵おばちゃんが来てくれることになったんだ。
「お迎え来るまで待ってようよ!」
双葉はそう言ってくれたけど、時間も遅くなっちゃうし早く行ってと伝えた。
「はな、また遊ぼうね!」
「ーーーありがとう。みんなと行けた旅行、楽しかった!」
私はとびきりの笑顔で笑いかけた。
私から去る集団ーーー、
その中で私から視線を離さない樹先輩と目があった。
だから私は深々とお辞儀をした。
ーーーありがとう、みんな。
そう心で感謝して。

その夜、私は大きな発作を起こした。
そして初めて救急搬送された。
友達と出かけた3泊は自分にとって負担が大きかったのかもしれない。
でも初めて行った友達との旅行は楽しかった。
2度とないかもしれない友達との思い出はきっと一生忘れない。
「着替えはここに入れておくわね、あと必要かなと思って携帯とタブレット持って来たわよ。充電器もきちんと持って来たわよ。」
「おばちゃん、私しばらく入院なの?」
「ーーーそうね。」
あんなにお喋りな葵おばちゃんも珍しくそれだけだった。
「豪の会社がここから近いから毎日来るように伝えてあるから必要なものがあったら豪に直接連絡してね。私も毎日来るからね。」
「ーーー無理しないで。」
豪くんはおばちゃんの唯一の息子で、
私の3つ上の従兄弟にあたる。

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私は窓の外を見た。
3月には珍しく大雨が降っていて、
まるで私の心の中が雨で表現されているようだった。

ーーー発作が頻度に起こり、
その度に酸素マスクをしては取り外し。
私はそんな毎日を過ごした。

ーーーあの旅行から帰った日から、
携帯を見る余裕なんてなくて、
きっともう電池がなくなって電源が落ちてるだろう、
そう思いながら久しぶりに先輩を思い出していた。

会いたいなーーー・・・。
ただそう思った。
病院の何もないベットで、
誰もいなくなる恐怖、
1人になる恐怖ーーー。
誰かに忘れられたくないな、って思った。
元気にしてるかなーーー・・・。
旅行であんなこと言わなければよかった、
こんなことになるならもっと楽しめば良かった。
先輩に大好きだってたくさん伝えておけば良かった。
いろんな後悔と先輩の笑顔を思い出した。
会いたいーーー・・・。
そんな気持ちから頬から涙が溢れた。
でも拭うこともなく、
私はそのまま意識を失ってしまった。

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