【 君がいる場所 】#27. 一時帰国へ・・・*

君がいる場所

#27.

私の父は明るくていつも優しい人だった。
家庭的な人で母をいつも大切にして、家族を優先させ、私たちにいつも笑顔をくれていた人だった。
母は・・・
笑顔が素敵な人で父の隣にいるときがいつも輝いている人だった。
お兄ちゃんのことを愛し、私のことも平等に愛してくれていた。
太陽のような明るい笑顔の持ち主だった。
ーーーその記憶だけは鮮明にある。

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入院は1ヶ月、それからリハビリも頑張って無事に病院を卒業できたのは3月の事。
学面でも少し遅れを取ったけど挽回できる範囲だったから必死に追いかける形を取った。
こればかりは日本ほど厳しくない学校で救われた、
そして卒業が近くなかったことも救われたと思っているーーー。

「ーーー卒業おめでとうございます。」
「柊?」
3月の日本での卒業式が終わった頃、私はやっと樹先輩に電話することが出来た。
意図的に避けていたわけではないけど、病院とか全て終わって心配要素がなくなってから連絡したかった。
「遅くなってしまったんですが・・・無事に生還いたしました(笑)そして卒業おめでとうございます。」
「もう大丈夫なのか?」
「はい、何も問題なく病院にも通っていません!」
そして先輩と少しだけ話した。
この1年、そして先日会った時も話すことなかった先輩の進路について。
大学はバスケ部監督の推薦で監督の母校でもある自宅から通えるM大学を選んだ、
その理由として幼馴染で同じバスケをしている蒼太さんと同じ大学に通えるからとのことだった。
主にバスケをして過ごすようだけど学部も一応決まっててスポーツ科学部、蒼太さんは文学部に進むんだそうだ。
進路の話だけではなくて高校の情報も教えてくれて、
私の担任の先生に不祥事が見つかって先生の入れ替えがあったことも教えてくれた。
あの先生は・・・私へのあたりも酷かったし少し怖かったもんなぁと先輩と話しては笑ってた。
そして先輩とこうして電話越しで話していて思うーーー。
やっぱり先輩のことが好きだなって。
物理的に会わないようにして留学したのに、
1年後にこっちに来ると知ったら会いたくて我慢できなくて会ったりして。
自分でも気持ちと行動が伴っていないのは分かっているけど先輩のことになると止められない。
ーーー本当に諦めの悪い女だと思う。
でもーーー・・・
連絡を取ったのはその一度だけで、それからはお互いに連絡を取り合うことはなかった。

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海外の夏休みは長いーーー。
去年の夏もどうしようかと本気で悩み、まだ来て5ヶ月の状態で一時帰国しようか悩んだ。
結局私は日本に帰国することを選ばずに高校でのサマーキャンプに参加した。
それはそれはとても有意義な時間で・・・
高校のメンバーや他の国や学校から多くの高校生が集まり、
同じキャンプ場で1週間を共に過ごす。
学生同士が固まらないように何度かに分けられてグループが作られて炊事当番や掃除洗濯やお世話係などに分けられる。
そのグループで1週間共に過ごし、
他のグループとは一種の対戦的なこともした。
例えばアドベンチャーコースではどのチームが一番ゴール出来るか、
学習コースではみんなで力を合わせて難問に挑戦してどのチームが正解できるか、
などゲーム感覚で楽しめる内容が盛りだくさんだった。
ーーーその中で私は未来ちゃんという一つ年上の女の子と同室になり凄く仲良くなった。
東京に住んでいた私とは違い、大分在住の彼女も今年から大学生で福岡の大学に通っている。
今年の夏も最後だからとサマーキャンプに参加しようと思ったけど、
キャンプ場の予約が取れずにキャンプ自体が開催されなかった。
ーーー途方に暮れた私はどうしようか、なんて考えていたら今度は未来ちゃんが夏休みの1ヶ月を利用してカナダに遊びに来てくれることになった。

未来ちゃんは平均的な身長で、ちょっとぽっちゃりした女性だと思う。
本人は痩せたいといつも言っているけど、私はそんな必要ないと思っていて、むしろそのふくよかなのが可愛いと思える。
小さい頃から合気道を習っていて将来は海外で合気道を教える人になりたいと、
大学もスポーツ関係に進んでいる。
まだ18歳の大学生なのにきちんと自分の夢を持っていて偉いなって思った。

彼女が滞在中の1ヶ月、私たちは色んな場所に出かけた。
バンクーバーだけでは物足りないと感じ、トロントに旅行にも出かけ二人の思い出を作った。
ーーーそこで初めて彼女からインスタという写真投稿サイトを教えてもらってアカウントを登録してみた。
トロントの景色や街並み、また友人との思い出をアップするのは凄く楽しいとハマりそうなSNSだった。
バンクーバーに戻っては二人でたくさんある公園をめぐってはピクニックをしたり、
様々なマーケットにも顔を出した。
そして先輩たちが来た時にもお勧めしたキッズマーケットにも行き、
日本では絶対に目に出来ない巨大なお魚の一匹売りだったり新鮮な野菜や果物マーケット、
そしてお惣菜マーケットにも顔を出した。
未来ちゃんはオリーブにたくさん種類があり、
それが種類ごとに売られていることに驚いていた。

そんな未来ちゃんのおかげで私の夏休みはめちゃくちゃ充実したものになった。
ーーーそして次は日本で会う約束をして、彼女は帰国した。

ーーー私が留学を終えるまであと半年、
カナダの学校に合わせることも考えたけど、日本の大学に進学する予定でいる私は入学式に間に合わせるために3月に帰国をする予定でいる。
環や双葉に比べたら凄くすごく遅いけど、
今さら進路について真剣に考えだしたーーー。

自分が好きな道に進む人、
とりあえず進んでみる人、
周りに言われたから仕方なく進む人。
理由は様々だけど、色んな進路の仕方がある。
・・・わたしは?
私は将来何をしたいんだろう?
うちはおばあちゃんも大学に進めとは言わないし、
自分の好きなように行きなさいと尊重してくれる。
だけど・・・私は何がしたいんだろう?

結局決められなくて推薦で行った環や双葉ではなく、
自分の道で装飾の専門学校に進んだナツさんに連絡を取ることにした。
久しぶりすぎる私からの連絡に驚いていたけど、
快く相談に乗ってくれた。
「花ちゃんが好きなことって何?得意なことでも・・・」
「私はやっぱり英語かなって思います。」
「ーーーだったら英文科とか国際関係に進んでも良いんじゃないかな?得意分野を生かすために大学に行って自分の道を探すのも一つの手じゃない?」
ーーー確かに、悩んでいるだけじゃ何も解決しないもんね。
進まないと、って思った。
「自分に合う大学かどうかを見るのも大事だと思うよ。樹も蒼太もここだけの話、推薦をいくつか貰って全部の大学に見学行って決めたからね。それだけ自分に合うか合わないかを見極めるって大事だと思う。」
「ーーーありがとうございます。」
その言葉の通り、
ナツさんに相談してから3日後、
たった4日間の一時帰国を強行突破した。
ーーー英文科のある大学を調べる、
飛行機の中ではひたすらそれに集中していた。

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