【 君がいる場所 】#16. 先輩に会いに・・・*

君がいる場所

#16.

夏休みの間ずっと悩んでた・・・
先輩に何をどうメールしたら良いのか分からなくて。
ナツさんからのお誘いもずっと断り続けた。

8月に入り夏休みも少しずつすぎていく。
私は10日連続勤務から解放され、
3日のんびり何もしないで過ごしたーーー。
寝ても寝ても眠い、
でも解決しなければならない問題もある、と。

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そんなある日、私は環に呼ばれた。
ーーーバイトもオフで、お昼ご飯を一緒にすることにした私たちはオムライス専門店に入った。
久しぶりに会う環に話すことがたくさんあった私は、
その場にいなかったあの日のことを話した。
「須永が凄い凹んでて、何事って思ってたのよ。」
「ーーー須永くん、女同士の戦いとか苦手そう(笑)」
ーーー環と須永くんは日頃からよく話すようで、
先日の話も須永くんからは聞いていたんだって。
「花は・・・このままで良いの?先輩とギクシャクしたままで良いの?」
「えっ?」
「2人の関係に気付いてないと思った?何となく隠してるのかなとは思ってたから聞かなかったけど、何度か私も部活帰りに2人が一緒にいるところ、見たことあるんだよね。」
「ーーーゴメン、言えなくて。多分、先輩の優しさだと思うけど。」
「それは良いってこと。それよりもこのままで良いの?まだお兄さんのこと誤解したままなんじゃないの?」
「ーーー・・・」
「今日、部活って言ってたよ?行って来たら?」
ガタンーーー。
「ありがとう!行ってくる!」
私は環にお礼を言って学校に早歩きをした。

最寄りの駅から学校までの距離がこんなに遠いと感じたのは初めてだと思うーーー・・・。
でも学校が近づくほど緊張して来て・・・。
正門の前で私は大きな深呼吸をしてから体育館に向かった。

グランドを見ればサッカー部と野球部、
第二体育館からは剣道部のメーンという声が聞こえる。
バスケ部のある第一体育館に向かうーーー。
でもそこには先輩の姿・・・
だけではなく誰の姿も見当たらなかった。
ーーー遅かった。
こんなに誰かに会いたくて、誰かのために走ったのは初めてで・・・
敗北感を感じた私はその場にしゃがみ込んだ。
「ーーーせんぱい・・・」
涙を堪えられず拳を握りながら私はその場に泣き崩れた。
「・・・柊!」
そこにバタバタと大きな音をして現れた先輩。
「なん・・・で?」
「須永からお前が向かってると連絡もらって、戻って来た。」
私はゆっくりゆっくり、体育館の扉に捕まって立ち上がった。
そして先輩に抱きついたーーー。
「どした・・・」
先輩は私を離そうとしたけど、めいっぱいの力でそれを拒否した。
先輩は諦めたように力を抜いた。
「ーーー好き・・・!やっぱり好きなんです・・・。諦めようと思っても、何をしても出来ないんです・・・!」
私は強引に自分の気持ちを伝え、
私を見下ろす先輩の唇に自分の唇を重ねた。
自分でも大胆なことをしたなと思ってる、
実際に先輩は驚きつつも困惑してるように見えた。
「す、すいません・・・!」
自分の行動にハッとした私は後退りするも、
今度は先輩の手によって唇が重なった。
「っっっはぁはぁーーー」
学校だということを忘れて私たちは何度も唇を重ねた。
まるで今まで我慢していたものを全部出すかのように。
「ーーー・・・悪い。」
ハッとした先輩がバツが悪そうに今度は私から距離を置いた。
私はそれを止めるかのように先輩に抱きついた。
「ーーーお兄ちゃんなんです!」
「・・・何が?」
先輩はなんのことか分かっていないようだった。
「あの消防士は・・・私のお兄ちゃんです。うちちょっと複雑で・・・4年前に兄が家を出てからこの前初めて会ったんです。ーーー誤解を招くような行動をとってすいませんでした!」
私は先輩に抱きつくのをやめて、謝罪をした。
「ーーー顔を上げろ。俺も・・・大人気なかったと思う、悪かった。」
「ーーーヒックヒック・・・」
「泣くな・・」
先輩は私の涙を拭った。
「・・・先輩の心は決まりましたか?」
「やっぱり君からの提案は拒否することにした。どう考えても負担に感じてない、君といるのはすごく楽しくて新鮮だ。だから今まで通りだ、良いな?」
「ーーー2人でいる時、手を繋いでも良いですか?」
「ーーーああ。」
「毎日電話もメールしても良いですか?」
「ーーーああ。」
「あとは・・・あとは・・・」
聞きたいことがたくさんあったのに忘れてしまって、
私の困惑にイラッとしたのか先輩は私の唇にまた一つ唇を重ねた。
「ーーー俺も遠慮してた。もう遠慮はしないことにするわ・・・」
そしてまた唇を落としてくれた。

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しばらく体育館で話した私たちは校門を後にした。
「ーーーほら、手。」
正門を出た瞬間に手を差し伸べてくれた先輩。
「い、良いんですか?ここ、学校の近くで・・・」
「ーーー別に俺はいーけど?あえて言う必要もないと思ってるけど逆に隠す必要もないんじゃねえの?」
先輩のその言葉が嬉しくて、私は彼の手を強く握った。
「一つ聞いても良いですか?私が初めて告白した時、学校の子とは付き合わないって言いましたよね、それはどうしてですか?」
「うーーん・・・中学の時にな色々あったんだよ。それで懲りたと言うか・・・笑」
元カノの話になるからきっと先輩的には言いたくなかったようで、
私もそれ以上は突っ込まなかった。

「ーーーありがとうございました。」
駅までの帰り途中にある私のアパート、
先輩はアパートの下まで送ってくれた。
ーーーアパートに到着したと同時に離された手、
それが想像以上に寂しかった。
「上がっていきませんか・・・?」
変な下心があるわけじゃない、だけどもう少し先輩と一緒にいたいと思った。
「ーーー悪い、今日は陽介達と約束してて無理なんだ。」
「そっか、ならまた今度・・・」
「ーーーごめんな。帰ったら連絡する。じゃあな。」
私は先輩が見えなくなるまで見送ったーーー。

いつも先輩に送ってもらう時、
私は先輩が角を曲がるで見送るーーー。
今日も同じように先輩を見送る私、
なぜか今日は無性に寂しく感じた。
でも、いつもは無反応の先輩だけど・・・
今日は一度こっちを振り返って手を挙げてくれた。
それだけだけど・・・
たったそれだけだけど、
なんとなく一生先輩と私の距離は少しだけ近づいている、
そんな気がした。

夜、先輩から電話をもらった。
「遅くなって悪かった。寝ていたか?」
「大丈夫です、何してきたんですか?」
この質問を問いかけてから失敗した、と思った。
詮索する感じに受け取られてしまったかな、と。
「ボーリングだ、負けた奴が夜ご飯奢るって話で必死だった。」
「で、どーでしたか?」
「勝ったよ。」
「ーーーでもナツさんから樹先輩は外食をあまりせず自宅でご飯食べるって聞きました。」
「何それ(笑)普通に食べるけど?(笑)」
「ーーーあれ?」
「あいつは人をマザコン扱いしてる笑」
ーーーでも楽しそうで良かった、そう思った。
「で、8/28日に地元で花火大会があるんだけど・・・あいつらと行く約束したんだけど、柊も行くか?」
「良いんですか?!」
「ーーー7時半からだから・・・帰りいつも以上に遅くなるけど大丈夫か?」
「大丈夫です!バイトもないし!」
「ーーーなら、そう言うことで。」
ーーー先輩と会う口実が出来た、それがすごく嬉しかった。
まだ先のことだけど、
楽しみがひとつ増えた。

すぐに机にあるカレンダーに先輩とのお出かけを私は記入した。

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